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家計負担20万円増! 「年内に1ドル=150円」説も出る超円安で相次ぐ値上げ「円安貧困」地獄にあえぐ国民
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.08.31 15:07 最終更新日:2023.08.31 15:13
円安の加速が止まらない。8月29日夜には、年初来高値となる1ドル=147円を更新した。
「大きな理由は、日米の金利差です。米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレを抑えるため金利を高くしています。一方の日本銀行は、金融緩和を続けているので低金利のまま。金利が高いドルを買い、円を売る動きが止まらず、円安になっています」(経済担当記者)
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円安になれば、輸入価格はあがる。その最たる例がガソリン価格である。現行の方法で調査を始めた、1990年以降のレギュラーガソリンの全国平均小売価格の最高値は、2008年8月の185.1円だった。しかし8月28日に185.6円となり、最高値を更新。政府の補助金がなければ、販売価格は約195円とも推計される。わずか0.5円の差だが、その内容は大きく異なるのである。
「2008年は1バレル=約140ドルでしたが、現在は1バレル=約80ドルです。原油価格は、40%ほど下がっているのです。それでも小売価格がいまと変わらないのは、当時は1ドル=90円台という円高だったため、輸入時の価格が抑えられていたからです。8月31日付の日本経済新聞は、2022年からのガソリン価格の上げ幅1リットル19円のうち、円安が押し上げ影響したのは16円だったという、日本エネルギー経済研究所の試算を掲載しています」(週刊誌記者)
このままの円安状態が続けば、エネルギーや食品など、幅広い分野で輸入品に頼り、実質賃金も15カ月連続で前年割れをしている日本は「円安貧困国になる」(経済界関係者)という指摘がある。一部報道では、2022年度から2年間の円安による家計の負担増は、20万円に迫るともされている。
東京商工リサーチも、8月31日に「200社のうち、2023年1月以降の出荷・納品分の値上げ(見込みを含む)を公表したのは164社で、対象品目は3万1024品に達する。長引く円安や上昇が続くエネルギー価格も影響し、輸入食材を中心に、商品の値上げや内容量の削減を余儀なくされている」とのリポートを発表している。
この行き過ぎた円安の是正には、日銀の政策変更が待たれるが、自民党内には「抵抗勢力」があるようだ。「いまでは自民党国会議員の6割にもなる」(政治ジャーナリスト)といわれる、「安倍チルドレン」の存在である。政治評論家の加谷珪一氏が語る。
「大規模緩和策を終了し、金利を上げれば円高になる可能性は高いと考えられます。しかし、自民党ではアベノミクス継続を強く主張するグループの力が強く、政策を転換するには、この人たちを説得する必要があります。あわせて、金利を上げると住宅ローンの破産者が増えたり、企業倒産が増えるといった悪影響もありますから、その対策も必要となるでしょう」
年内に1ドル=150円を突破すると予測するエコノミストもいるなかで、「円安貧困国」にならないための効果的な政策が求められている。
( SmartFLASH )