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労組が「苦渋の決断」池袋西武でストライキ&デモ決行 ライバル百貨店から応援続々、中核派も「独自参加」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.08.31 22:52 最終更新日:2023.09.01 14:45

労組が「苦渋の決断」池袋西武でストライキ&デモ決行 ライバル百貨店から応援続々、中核派も「独自参加」

ストライキに集まった支援者たち。右に見える「全学連」とあるのが「中核派」の旗だ(写真・梅基展央)

 

デモなんかやったことがないし、ましてやストライキなんて無縁でした。それが、ついに決行することに。試行錯誤、ドキドキでしたよ」

 

 こう高揚気味に語るのは、デモに参加した組合員。セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の百貨店「そごう・西武」の米投資ファンドへの売却をめぐり、事業の継続や従業員の雇用維持を求め、そごう・西武労働組合は8月31日にストライキに突入。それに合わせ、東京・池袋駅周辺でデモを実施した。百貨店大手のストは、1962年の阪神百貨店のスト以来、61年ぶりのことだ。

 

 

 この日、西武池袋本店にはストライキによる臨時休業の張り紙が張り出された。本店正面玄関前では、早朝から労組を支援する団体が集会を開き、足を止める通勤客も多い。

 

 午前11時過ぎには、池袋駅近くの東池袋中央公園に、そごう・西武労組の組合員が続々と集まってきた。50人あまりの報道陣も集まり、注目度の高さを表している。さらに、警備の警察官が20人ほど集まっていた。今日の集会について、労組幹部はこう語る。

 

「今日、集まったのは、全国から来たそごう・西武労組の組合員、総勢300人ほど。また、ライバルであるほかの百貨店から、応援で駆けつけてくれた人もいました。池袋本店の組合員はストライキで、他店の組合員の多くは有休をとって来てくれたんです」

 

 デモは11時30分から約1時間をかけ、池袋駅周辺を行進。「こんな形になって申し訳ありません」と謝罪の言葉を述べながらも「西武池袋本店を守れ!」「池袋の地に百貨店を残そう!」とシュプレヒコールを上げた。沿道の人からは拍手がわき起こり、車の窓を開け「がんばれ!」と声をかけられるなど、デモを応援する声が多く聞かれた。

 

「歩道を歩かれていた方も『がんばってね』と言ってくださって、心強かったです。成功と言っていいかどうか。でも応援してくださる人がいたことはうれしいです」(前出・労組幹部)

 

 一方、セブン&アイHDは、労組がデモを行っている時間帯に、正式にそごう・西武の売却を決定した。労組の寺岡泰博・中央執行委員長はこの決定に強く反発している。

 

「これで終わりではない。今後も継続して行動していきます。ストライキという形を取ったのは、苦渋の決断です。でも労働者の権利として『こんなことができるんだ』ということを示したかったのです」

 

 じつは、この日のデモ行進の場に現われたのは、そごう・西武の組合員だけではなかった。抗議行動には、過激派として知られる新左翼集団「中核派」のメンバーも独自に参加し、ビラまきをおこなっていた。

 

「とくに支援の要請が来ていたわけではなく、ストライキを実施するということで、勝手に来ました。我々が支援するコンビニ関連ユニオンも関係しているので、応援しようと思っていたところです」(中核派関係者)

 

 もっとも、そごう・西武労組は、中核派と関係があると思われるのを嫌ったのか、「デモ行進は、あくまでそごう・西武労組の組合員に限り、それ以外の団体は参加しないように」と注意していた。

 

 急激な物価上昇や、広がる格差。労働者が権利を訴える手段としてのストライキは、再び脚光を浴びるかもしれない。

( SmartFLASH )

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