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「日本人に法学はまだ早かった」京アニ放火殺人事件「無罪主張」の被告弁護人への批判に巻き起こる“同情論”
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.09.06 18:09 最終更新日:2023.09.06 18:44
9月5日、京都地裁で「京都アニメーション放火殺人事件」の初公判が開かれた。
2019年7月、「京アニ」の略称で知られる有名アニメーション会社・京都アニメーションの第1スタジオに、青葉真司被告(45)が侵入。
「スタジオの1階フロアや、居合わせた社員に向かってガソリンを撒き散らしたうえで、青葉被告はライターで放火し、スタジオを全焼させました。社員70人がいたなかで、36人が死亡し、32人が重軽傷を負った凄惨な事件でした」(事件担当記者)
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青葉被告は殺人、殺人未遂、現住建造物等放火など5つの罪に問われている。
事件当時、自身も全身の93%に火傷を負った青葉被告は、顔や首筋にまだ火傷の痕が残り、背もたれが後方に倒せる特別な車椅子に乗った状態で、初公判に出廷した。
起訴内容について「間違いありません」と認めて、「こんなにたくさんの人が亡くなるとは思っておらず、やりすぎたと思っています」と、陳述した青葉被告。
一方で、弁護側は「事実関係を争わない」としたうえで、事件当時の青葉被告は、善悪を判断する能力が欠けており、心神喪失の状態だったとし、無罪を主張。かりに有罪の場合でも心神耗弱の点から減刑を求めている。
初公判後にこうした内容が各媒体で報じられると、
《いくら弁護士の仕事とはいえ 36人も殺しておいて 無罪はないわ》
《京アニの犯人の弁護士ってどんな気持ちで無罪主張してんだろうね 仕事だからって 遺族に向かってよくこんな事言えるよな 何億円貰えるとしてもとても私には出来ない》
《被告側の弁護士も半ばヤケクソになってないか どう足掻いても弁護しきれんもの》
SNS上には、青葉被告を担当する弁護士を批判する声であふれた。
「たしかに痛ましい事件で、適切な司法判断が下されなければなりませんが、被告弁護人を務める弁護士を責めるのは筋違いといえるでしょう。
青葉被告のような刑事裁判の場合は、弁護人がついていなければ、裁判手続をおこなうことすらできません。被告自らで依頼できる『私選弁護人』がいない場合は、裁判所などが選任する『国選弁護人』が着任することになっています。もし被告本人が弁護人を拒否したとしても、裁判官の職権で国選弁護人をつけるものです。
困窮者でも弁護を受けられるように作られた制度で、国選弁護人は私選弁護人に比べると、非常に安い報酬で弁護を務めているといわれます。
日弁連の職務基本規定には『弁護士は、被疑者及び被告人の防御権が保障されていることにかんがみ、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努める』とされているため、被告人の利益に反する発言は禁じられています。検察の求刑をそのまま受け入れるような弁護活動をすれば、懲戒処分を受ける可能性もあります」(司法担当記者)
こうした事実を知る人々からは、弁護人に同情の声が上がり、SNSでは“弁護人批判”に対する議論が巻き起こっている。
《京アニ放火事件の被告弁護人が無罪を主張するのは、「責任能力なしで無罪」以外は死刑しかほぼありえない状況なんで、ある意味当然かと。私は弁護士じゃないのでよくは知りませんが、「こんな事件の犯人を弁護する」なんて罰ゲームとしか思えないですし、「お疲れ様です」しか言葉がない》
《「なぜあんな奴を擁護する!」とか感情的な批判を受けるのが目に見える話となるが日本は法治国家である以上は必ず弁護を付ける必要がある 弁護士も皆思ってるだろう、「誰も引き受けたくない」と》
《責任能力を争う弁護人の姿勢を批判するコメントがあるのが恐ろしい。責任能力に応じた刑の減免を批判するなら法制度を変えるしかなく、現行法下では弁護人は責務として争わざるを得ない》
《国選弁護人を叩くやつとかいるんだ… またしても日本人に法学はまだ早かったことが証明されてしまった》
司法制度にのっとり、しっかり事件の究明がなされたうえで、判決が下されることを祈るばかりだ。
( SmartFLASH )