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内閣改造は「刷新感ゼロ!」権力者 “最大の武器” である人事権を捨て去った岸田首相は、早期退陣を【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第18回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.10.06 06:00 最終更新日:2023.10.06 06:00

内閣改造は「刷新感ゼロ!」権力者 “最大の武器” である人事権を捨て去った岸田首相は、早期退陣を【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第18回】

9月13日の党役員会。「読売の世論調査で、評価しない声が上回った小渕優子氏を選対委員長に起用。まさに “異次元” の人事やね」

 

 ヤフーの投票システム「みんなの意見」では、「あなたは第2次岸田再改造内閣にどれくらい期待しますか?」という質問に対し、90.7%(18万6935票)の人が「全く期待しない」と答えている。「あまり期待しない」を含めるとほぼ100%。このありさまで、よう政権運営を続けられるな……。

 

 今回の内閣改造について、私はX(旧Twitter)で、連日 “ちょい辛” 発信をしてきました。

 

 

《「総理になりたくて」総理になったのであれば、もう目的は達したので、無理して続けることはないのでは…。今回の内閣改造で、外相に戻られたらいかがでしょうか?》
《一体どこに“刷新感”があるというのだろう? せめて総理だけでも留任じゃなかったら、“刷新感”は出るのだろうが…》

 

 投稿のたびに、「いいね」が1万前後つき、スポーツ新聞の記事にもなりましたが、まだまだ言い足りない。

 

 今回の内閣改造は、ひと言で言えば、派閥均衡の「順送り人事」。麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、松野博一官房長官、萩生田光一政調会長といった派閥の有力者は全員留任。そして今回、初入閣した11人のうち9人が「待機組」といわれる議員たち。この数は過去最大級です。能力ではなく、順番待ちで入った人がたくさんいるわけや。

 

 ただ、選挙対策として新しさも出さなあかんから、5人の女性閣僚を登用したけど、これは見せかけだけの「トッピング」。だって、副大臣や政務官は、54人全員が男性ですやん。いつの時代の話や。結局、何も変わらん。

 

 トッピング議員自体にも疑問符がつく。たとえば、「こども政策担当大臣」に就任した加藤鮎子議員。「チルドレンファーストの政治の実現」を目指す勉強会の呼びかけ人の一人であり、なかなか熱心な人ではある。

 

 しかし、たとえば子ども予算を倍増しようとすれば、反対する抵抗勢力や官僚組織を組み伏せるために “剛腕” が必要。その点、加藤さんではちょっともの足りない。この人事ひとつとっても、岸田総理は子ども政策に本気で取り組むつもりがないんやね。  岸田総理はそもそも、国民のことなんて考えていない。内閣改造の真の目的は、岸田総理がその座に留まり続けることやったということ。地方自治体の場合、首長は直接選ばれるから、市民のほうを向いて政治をしなければならない。市民の評価が4年後の選挙に繋がるから。

 

 ところが、総理大臣はいくら支持率が下がってもやめなくてすむ。国民ではなく派閥の有力者が選ぶから、領袖の顔色ばかり窺う。その構造が、今回の人事であらためてクリアになった。

 

 岸田総理は内閣改造に際し、2つの言葉を使った。「適材適所」と「刷新」ですが、あんたがようそんなことを言えるなという話よ。派閥順送りで「適材」ちゃうやろと。そして留任だらけで、刷新感なんてありまへんがな。

 

 そもそも、なんのために内閣改造をやるのか。なぜ、総理には人事権があるのか。岸田総理自身、その問いについて何も考えていない。

 

 私は明石市の市長を12年やり、人事がいかに重要かを実感した。権力者にとって、もっとも重要なのが人事なんです。市長の権限は大きく分けて、方針決定権、人事権、予算編成権の3つ。方針決定権とは政策の舵取りで、それを実行する人材を揃えるために、人事権が与えられているわけです。

 

 明石市長時代、もともと年に1回だった人事異動を最後のころは年間27回もやりました。若手も抜擢した。従来、50歳手前で課長になるのが慣例だったが、30代の課長を一気に30人ぐらいに増やした。

 

 女性登用については、当時60歳手前で部長になることがパターン化していたところ、50歳の女性を部長に任命しました。今、その人は副市長として活躍しています。

 

 それでも、当初は人事権を行使するのにも苦労した。「市長には実質的に人事権はないんです」と、市の職員からはっきり言われた。「組織文化もあるし、市長ができることは限られています」と。

 

 私はそれを無視し、言葉どおり人事権を行使し、若手や女性の抜擢、民間登用、専門採用など、まさに適材適所を実行した。人事権を最大限活用したからこそ、明石を大きく変えることができた。

 

 政策の方向性を示し、それを実現するための人事と予算編成をする。結果、明石市民が幸せになった。そもそも政治って、政策実現と結果責任なんです。反面、ネガティブ・キャンペーンも張られました。議会の抵抗を浴び、市の幹部から憎まれた。

 

 今回の内閣改造でいちばん腹が立ったのは、じつはマスコミ報道に対して。相変わらず、古い派閥均衡政治を話題にしている。「〇〇派が何人」「バランスを取った」……。そうじゃなくて、「そもそも政治とは」「総理たる者は」という視点が必要なはず。

 

 結局は、誰に取材するか。派閥の有力者とか、官邸の親玉ばかりに取材するから、彼ら目線の記事になってしまう。記者は権力者に近づいていって、ネタをもらう自分がエラいかのような錯覚に陥ってしまってるんやないか。

 

 私のちょっと茶化したSNSの発信があれだけ反響を呼んだのも、大新聞やテレビが建前ニュースを流しているときに、「元明石市長」が国民の本音を代弁したからやと思いますね。

 

 最近の「毎日新聞」の世論調査では、岸田総理に「早くやめてほしい」という回答が51%と過半数に達した。このニュースに私はこう発信しました。

 

《国民の願いは、早期の『解散総選挙』じゃなく、早期の『総理退陣』。そんなこと“決断”できるような総理じゃないけど…》。

 

 この言葉は、岸田総理には届かんやろうね。

( 週刊FLASH 2023年10月17日・24日合併号 )

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