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イスラエルvs.ハマス「虐殺の連鎖」はなぜ止まらない? 識者3人が徹底解説「今後は20年前の状態に戻る」世界大戦の可能性は?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.10.19 06:00 最終更新日:2023.10.19 06:00

イスラエルvs.ハマス「虐殺の連鎖」はなぜ止まらない? 識者3人が徹底解説「今後は20年前の状態に戻る」世界大戦の可能性は?

イスラエルによるガザ地区への空爆で崩壊したビルから運び出されるパレスチナの少女(写真・アフロ)

 

「我々は肉食動物を見た」

 

 10月11日、イスラエルのネタニヤフ首相は、7日に突如始まったハマスの “攻撃” をこう批判した。12日までのイスラエルの被害者は約1300人。一方、反撃を受けたパレスチナ・ガザ地区では1500人以上が死亡している。多くの市民が巻き込まれる “虐殺の連鎖” はなぜ止まらないのか。中東情勢に詳しい識者3人に尋ねた。

 

■ハマスはなぜ、突然イスラエルを攻撃した?

 

 

「ハマスは、2007年にガザ地区を掌握した武装組織です。今回だけでなく、これまで何度もイスラエルを攻撃してきました。2021年の大規模な戦闘では、イスラエルに徹底的に潰されたため、2年5カ月かけて準備をしたということです。

 

 今回の攻撃は、アラブの大国であるサウジアラビアのイスラエルとの国交正常化に向けた動きに反発したという説もありますが、それがなくても、戦力を再建したらいずれにせよ攻撃に出ていたと思います」(軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏)

 

「イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で今年殺害されたパレスチナ人の数は、8月までに過去最多を記録しました。それほど関係が悪化していたのです。

 

 また、イスラエルの宿敵・イランが仕組んだとの見方もありますが、イランは米国の報復を警戒してか関与を否定しています」(拓殖大学・名越健郎特任教授)

 

■なぜイスラエルは、今回の攻撃を予見できなかった?

 

「イスラエルが発布するガザ地区外での労働許可証など、経済的利益になびき、ハマス側は『戦うつもりはない』というそぶりを見せ、イスラエルを油断させていたという情報がありますが、それだけではありません。

 

 イスラエルは、モサドなど複数の情報機関や軍を通じテクニカルに監視しているので、よほどうまく偽装したのでしょう」(黒井氏)

 

「一部では、今回のハマスによる攻撃の背後にロシアのワグネルが関与しているといわれています。具体的には、ワグネルが根城とするアフリカ地域で、ハマスの戦闘員を訓練していたというものです。国外で準備されていたため、予見できなかった可能性があります」(筑波大学・中村逸郎名誉教授)

 

■イスラエルは、今後ガザ地区をどうするつもり?

 

「地上侵攻をおこない、ハマスのせん滅作戦を実施するでしょう。そもそも、1993年にPLOとイスラエルの間でオスロ合意が結ばれました。イスラエルは、ヨルダン川西岸とガザ地区を自治政府のものだと認めたわけです。

 

 しかし、イスラエルの中の強硬派が自治区に侵入し、自分たちのアパートなど入植地を次々造りだしました。パレスチナ側からすれば、イスラエルは約束を破っているということです。

 

 2005年までは、ガザ地区にイスラエル軍が常駐し、パトロールをしていましたが、まさに今後は、この20年前の状態に戻るでしょう。その過程で、多くのパレスチナ市民が巻き込まれます。

 

 エジプトに一般市民を逃がす人道回廊を設置する案も交渉されていますが、エジプトは大量の難民が押し寄せることに難色を示しています。今後、数万人単位の犠牲者が出る可能性があります」(黒井氏)

 

■ハマスを支援する国やウクライナ戦争を巻き込み、世界大戦が起きる?

 

「ハマス自体の戦闘員は3~4万人といわれています。イスラエルと戦っても、話になりません。ワンサイドゲームです。レバノンの武装組織・ヒズボラが参戦する可能性もありますが、やはりイスラエルが圧倒的有利。

 

 もしもイランが今回の首謀者と判明すれば、イスラエルとの緊張が高まりますが、戦争まではまず行かないでしょう。ただしイランへの牽制として、米国は空母打撃群を地中海に派遣しています。ウクライナ戦争とは関係ありません」(黒井氏)

 

「米国の共和党は、ウクライナ支援には消極的ですが、イスラエル支援には積極的です。“二正面支援” を強いられる米国が、ウクライナへの支援の規模を減らす可能性はあるでしょう」(名越氏)

 

「11日、ゼレンスキー大統領がイスラエルを訪問する意思を表明しました。ゼレンスキー氏の目的は何かというと、イスラエルと接近し、自分たちも核を手に入れることです。

 

 イスラエルとウクライナを中心とした西洋諸国対アラブ諸国、ロシア、中国という2項対立に繋がると、世界大戦の危険が生じます」(中村氏)

 

 最後にツケを払うのは、無辜の市民だ。

( 週刊FLASH 2023年10月31日号 )

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