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「パー券問題はリクルート事件の30年前と一緒。一気に政権交代や!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第26回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.13 06:00 最終更新日:2023.12.13 06:00

「パー券問題はリクルート事件の30年前と一緒。一気に政権交代や!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第26回】

安倍派会合で挨拶する塩谷立座長。「有力者はノルマなんかすぐ果たせるから、パーティー券を売れば売るほど私腹を肥やせる」(泉氏)

 

 自民党政治資金パーティーの問題。主要5派閥の収支報告書に、計約4000万円の収入が記載されておらず、最大派閥の安倍派の議員にはその一部がキックバックされていた疑いがある。安倍派の「裏金」は5年間で1億円を超えるとされ、1000万円以上を受け取った議員が複数人いるらしい。金権政治がまた露呈した。立件を視野に入れて調査中の東京地検特捜部には、ぜひ頑張ってもらいたい。

 

 今回の件で思い出したのが、1993年の細川護熙政権の時代。当時、中曽根康弘元首相ら、自民党派閥領袖クラスを含む90人以上の政治家が、未公開株を賄賂として受け取るという「リクルート事件」が起こった。

 

 

 そこで、8党派連立の細川政権が誕生し、「政治改革」の目玉として打ち出したのが、政党交付金の導入。その前提になったのが、企業・団体献金の廃止です。企業がカネを出し、政治家が便宜を図る。それを防ぐために、国民一人当たり250円を負担してもらって政党交付金を始めたわけや。交付金は、いまや年間300億円を超える。

 

 ところが、政治家個人への企業・団体献金は廃止されたものの、政党への献金は今も残っている。

 

 加えて、裏金作りも相変わらず続く。結局、政治家は政党交付金、政治献金、裏金の「三重取り」ですわ。自民党は、30年前から何も学んでない。

 

「パー券はさばくのが大変」と桜田義孝元五輪相は言ったが、安倍派の有力議員にとっては造作もないことよ。販売ノルマ以上のパーティー券をさばき、その売り上げを裏金にしていたわけやから。桜田氏が退会した二階派も、裏金を作っていた疑いがある。

 

 カネを出す企業側も、誰がいくら出したかバレないから、献金よりもパーティー券を買うほうが都合がいい。そして、実際にパーティーに行くのは企業の総務課長など2、3人程度なのに、100枚パーティー券を買ったりしている。参加者以外のぶんが裏金に回ったりもする。

 

 私も政治資金パーティーをやったことがありますが、目的は金集めではなく、パーティー券の売りさばきなどやったことはない。会費1万円で、食べ物代と会場代でほぼ消えて、収支はトントン。

 

 政治資金パーティーそのものは悪いことじゃない。パーティーでカネを集めて選挙資金にすることは、よくある話。資金の流れが透明であれば違法やない。

 

 今回の件は、出す側ももらう側も収支報告書に記載せず、カネがなんぼ動いたかわからんから問題なんです。

 

 裏金とは、まさに見えないところでポケットに突っ込むようなカネ。なのに、秘書は表を走りまわってパーティー券を売り、企業は堂々とカネを渡している。

 

 しかも、それが常態化している。そやから、安倍派の塩谷立座長はキックバックについて聞かれて、「あったことはあったと思う」という反応やったんやね。悪いことやと思っていない。

 

 企業や団体から過剰にカネを集めると、政策が歪む。国民を無視して、カネをくれた企業や団体に便宜を図るから。とくに今回のように、巨額のカネをくれた相手には当然、大口の公共事業をまわしたり、中抜きできるように「いっちょかみ」させたりする。企業のトップには、勲章を与えることも多い。

 

「政治にはカネがかかる」と政治家はよく言うが、それは嘘。政治にカネなんかかからん。政治とは、突き詰めれば方針決定権、予算編成権、人事権を行使すること。どういう社会にするかという目標を設定し、カネの使い道を決め、人を動かすだけ。そのために、大きなカネは要らない。

 

 実際、私は政治にカネをかけていない。選挙にカネがかかるというのもおかしい。結局、政策を語れんからや。有権者の共感を得られないからカネをかけるわけ。語るべきことがあれば、マイク一本で駅前でしゃべるだけでいい。私は、これまでの選挙でカネを使わず当選してきた。私が応援した選挙でも、カネに頼らずに次々と圧勝させてきた。

 

 国会議員時代、私の秘書の数は4人。政策秘書と、第一・第二の公設秘書の経費は公費だから一銭もかからん。もう一人地元に私設秘書を置き、その人件費と事務所経費のみ自腹で払った。

 

 国会議員は恵まれた環境にある。議員立法をしようと思ったら、衆議院、参議院には調査室があるし、手伝ってくれる職員がいる。内閣法制局と同じように、衆議院、参議院にも法制局があり、法律の条文を書いてくれる。国会の隣の国会図書館では、海外の資料も手に入る。加えて、各政党には政策スタッフがいる。立法活動を支援する体制が整っているんです。そやから、秘書は4人いれば十分。

 

 ところが、多くの議員は5人も10人も秘書を抱えている。それは選挙対策のためです。秘書に挨拶まわりをさせたり、口利きをさせたり、グレーゾーンの仕事ばかりさせている。そこがまさに利権の温床となるわけよ。

 

 安倍派には裏金をはじめ、カネにまつわる問題が絶えない。安倍元首相の政治団体で、妻の昭恵さんが引き継いだ「晋和会」に2億円超が寄付されたこと、安倍さんが、石川県の馳浩知事に、官房機密費を「いくらでも出す」と言ったことなど数え切れない。

 

 やはり、安倍派が権力を牛耳ってきたから、そこにカネが集まった。街灯に集まる虫のように、カネを求めて議員が安倍派に群がった。

 

 こうした私利私欲の政治を見ると絶望的な気分になるが、じつは私は大きなチャンスやと思っている。

 

 今は、細川政権が生まれた30年前と同じような状況。当時、未来永劫続くと思われていた自民党と社会党の55年体制も一気に崩壊した。

 

 今、国民の怒りは爆発していて、政治が一気に流動化する可能性がある。歴史が動きだしています。

( 週刊FLASH 2023年12月26日号 )

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