12月28日、大阪商工会議所の鳥井信吾会頭(サントリーホールディングス副会長)が、朝日新聞のインタビューに応じた記事が配信された。鳥井氏は2025年の大阪・関西万博について、「大阪の都市としての品格『都市格』を上げるチャンス」などと期待を語った。
鳥井氏は、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長を務めている。
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11月25日に鳥井氏は万博の会場建設地を視察。「世界最大級の木造建築物」を誇る木製リングや大阪ヘルスケアパビリオンの建設状況を見学し、「万博はコロナ禍以降最大規模のイベント。今日の会場視察を転換期として、『みんなでやろうと決めた万博』を大阪・関西だけでなく、日本全体の万博にしていくと思いを新たにした」と語った。
だが、12月25日、三菱総合研究所が発表したアンケート結果で、万博に「行きたい」と答えた人は全国で26.9%。前回4月から4.0ポイント下落した。万博への関心についても「大いにある」「まあある」の合計は27.4%で、同じく前回から4.1ポイント下がった。
鳥井氏の「万博は『都市格』を上げるチャンス」という発言には、「X」で失笑する声があがっている。
《5、6年前ならいざ知らず、もはや下げる一方でしかないと思う》
《期間限定の無くなる箱物、カジノ施設建設(取らぬ狸の皮算用)で上がる「都市格」って何でしょう》
実際、万博に関しては、ネガティブな情報があふれている。
12月28日、NHKは《大阪・関西万博 9割近くが「工事参画に興味ない」建設業界調査》と題する記事を配信。10月から11月にかけ、全国建設業協会が、協会に所属する1万8000社あまりを対象に、万博に関わる工事に参画する意向があるかを調査。
その報告書では、全国775社から回答があったうち、工事参画に「興味がある」は11.8%。「興味はない」が89.4%だった。開催地の大阪を含む近畿地方でも71.1%が「興味はない」と答えたという。
自由記述では、「問題が山積みの中で万博を開催する意義があるのか疑問である。中止すべき」「タイトな工期を厳守するために働く人たちに極度の負担がかからないようにしてほしい」という意見もあったという。
同じく12月28日、「AERA dot. (アエラドット)」は《吉村洋文知事が絶賛する「5mで1億円」の大阪万博リング 大半は接着剤で貼り合わせた集成材》と題する記事を配信。
大阪府の吉村洋文知事が「釘を使わない素晴らしい建設技術を使った建設物」と絶賛する木造リングだが、建設に携わるこの道15年のベテラン職人がこんな内実を語っている。
《木材も国産檜(ヒノキ)や福島県の杉を使っていると言いますが、使っているのは縦と横の梁(はり)など一部だけ。大半は、細い木を接着剤で貼り合わせて圧縮したフィンランド製の集成材で、国内の林業振興にもなっていません》
12月20日には、大阪府・市と万博協会が、万博開催中に来場者の案内などをするボランティア2万人程度を募集すると発表。2024年1月中旬から募集を開始するという。
だが、11月の「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」に、大阪府・市は、職員計2400人をボランティアとして動員したこともあり、「X」ではこんな声があがっている。
《これまた大阪府・市職員を強制ボラさせるんじゃない?》
《万博に行きたい人が少ないのに、万博のボランティアしたい人がたくさんいるってことはないと思うよ》
《大量の税金をぶっ込んでおきながら、人はボランティアに頼るっていう。東京オリンピックの悪夢再びって感じ。本当に人間を大事にしないな》
ネガティブな情報ばかりあふれる万博には、SNSで《参加国も建設業界も国民も興味なし。空っぽの大阪万博》という声もあがっている。
2025年4月の開幕までにこの状況が劇的に改善されるとは思えない。「万博は『都市格』上げるチャンス」という発言が失笑されるのも当然だろう。
( SmartFLASH )