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マイナ保険証 利用率高めた医療機関への「支援金」を予算案に…「あらゆる手段」で今後も税金投入か
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.29 17:45 最終更新日:2023.12.29 17:45
健康保険証とマイナンバーカードを一体にした「マイナ保険証」の利用率は2023年4月に約6.3%だったが、同年11月には約4.3%と下落している。業を煮やしたわけではないだろうが、現行の「紙の保険証」を廃止する2024年12月2日まで1年となったことから、11月10日に閣議決定した2023年度の補正予算案に計887億円のマイナ保険証の関連費用が盛り込まれた。
そのうちの217億円を「患者に利用を勧め、利用が増加した医療機関に配る支援金などにあてる」としている。この支援金が2024年1月から始まる。
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「2023年10月の利用率を基準として、2024年1~5月、6月~11月の2期に分け、平均利用率が増加した医療機関や薬局に支給します。例えばマイナ保険証の利用が5ポイント増えた医療機関には利用1件あたり20円が診療報酬に上乗せされて支払われます。
支援金の額は利用率に比例してあがり、上限は利用率50%以上の1件120円です。12月29日付の『日本経済新聞』が試算をしていますが、2023年10月に利用率が10%だった病院が2024年1~5月で60%にまで増加した場合、その期間の利用件数が1万件なら120万円の支援金を受け取れます」(経済担当記者)
医療機関としては、マイナ保険証の利用をすすめて、多く使ってもらえばそれだけで収入が増えることになる。
「国の補助金もあり、2023年9月時点において全国で約95%の病院と薬局がマイナ保険証を利用できるようになりました。診療所では84%です。使用率があがらない理由を政府は『医療機関が不慣れな患者に教えることに消極的なため』と見ています。
実際、多くの医療機関が『説明など現場の負担が大きい』『マイナ保険証にメリットを感じていない』と機械にカバーをかけたままの病院もあります。そのため今回、支援金というインセンティブ(報奨金)を支払うことで医療機関に頑張ってもらおうというわけです」(週刊誌記者)
「ニンジン作戦」とまでは言わないが、医療ジャーナリストも「マイナ保険証を使えば使うほど、医療機関が潤うようにする施策です。しかし原資は税金。マイナンバーカード普及のためのマイナポイントにも多額の税金が注ぎ込まれました。武見敬三厚労大臣が12月22日の記者会見で『あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用促進に向けて努力する』と発言していますから、この先も『あらゆる手段』で税金を投入するのではないでしょうか」という。
12月12日に終了した総点検では、マイナ保険証に別人の情報が紐づけられるなどのトラブルが新たに1142件判明したが点検対象の0.007%にとどまった。そのため政府は「国民の不安は払拭されつつある」としているようだ。しかしこれまでマイナカードには2兆円以上が注ぎ込まれている。「これ以上は勘弁してほしい」というのが国民の総意だろう。
( SmartFLASH )