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「津波も忖度」大阪万博の会場「夢洲」南海トラフ大地震でも「津波は来ません」「液状化しません」妄想防災計画にSNS大荒れ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.02.09 06:00 最終更新日:2024.02.09 06:00
2023年12月にまとめられた「2025年日本国際博覧会 防災基本計画(初版)」がSNSで注目を集めている。
「京大防災研究所の教授を議長に、防災関係者や関係行政機関で構成された『安全対策協議会』の議論をたたき台にして、万博協会が作成した防災計画です。
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この計画では、万博会場となる夢洲(ゆめしま)について、非常に楽観的な被害予測が記されています。
たとえば、死者32万人の可能性がある南海トラフ大地震が起きたときでも、『満潮時の津波予想高さに対して5m以上の嵩上げをおこなっている』『夢洲への浸水被害は夢洲周辺部に限られる」と、ほとんど被害がないことになっています。
ちなみに、より市内に近いユニバーサルスタジオは1~2メートルの津波被害となっています。
これだけでも問題ですが、さらに批判を集めているのが、『液状化予測』です。《夢洲では、主に港湾や河川を掘削した際に生じた粘土質のしゅんせつ土砂で埋め立てるといった対策が講じられており、会場の大部分は液状化が起こらない想定となっている》と書かれています。
説明にあるように、夢洲は海や川の土砂で造成されました。すでに地盤沈下が大きな問題となっているにもかかわらず、液状化が起こらないと書いてあることに、驚きの声があがったのです」(経済担当記者)
危険度が色分けされた「予測マップ」を見ると、確かに夢洲の海側の多くは「危険なし」になっている。いったいどういうことなのか、この文書を「X」で《妄想防災計画》と断罪した建築エコノミスト・森山高至氏に聞いた。
「埋め立て地のすべてで地盤が悪いことはないのですが、開港して20年になる関西国際空港は、いまでも地盤が沈下しています。埋め立てたばかりの夢洲は、データがなかったためこの表記になったのかもしれませんが、インチキとも言えますよね」
万博工事には大手ゼネコンも加わっている。疑問に思う声はあがらなかったのだろうか。
森山氏は「現場の方たちは『まずいな』と思ったでしょうが、『今さら言えないな』ということだったのではないでしょうか」と推測する。
軟弱地盤に建築物を建てる場合、基礎杭を地中深くまで打つ必要がある。それで倒壊などを防ぐのだが、夢洲の固い地盤は地下50メートルとも言われる。それだけ深く打つのだから、どうしても建築コストは上がってしまう。
海外パビリオンの建設が進まない理由は、この「コストアップ」にもあるようだ。
「海外パビリオンを誘致する際、協会は軟弱地盤のことを積極的に説明しなかったようです。書類に小さく書いてあった程度だったと聞きます。
ヨーロッパは、日本と違って地盤についてほとんど気にとめませんから、建築段階になってコストアップがわかり『それは払えません。日本の責任で(工事を)やってください』と要求する国が出てきたわけです。
アメリカなどは地盤に合わせて、パビリオンが重くならないデザインに変更していますが、コンペでデザインが決まった国は、そういった柔軟な対応が難しいようです」(森山氏)
万博の防災計画が、あまりに机上の空論だったことに対し、「X」では《都合良すぎて笑う 忖度する津波》などの批判が集まり、大荒れ状態になっている。大阪万博の開催まで、残り430日を切った。このまま、なんのトラブルもなく開催できるのだろうか――。
( SmartFLASH )