社会・政治社会・政治

女性総理候補を読み解く…「高市さん、小渕さんよりは決断力の上川さんだが……伏兵は小池都知事」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第34回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.02.21 06:00 最終更新日:2024.02.21 06:00

女性総理候補を読み解く…「高市さん、小渕さんよりは決断力の上川さんだが……伏兵は小池都知事」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第34回】

江東区長選で応援演説をする小池氏。「小池さんは、何をしでかすかわからない怖さがある。今も絶対、総理を狙っているはず」(泉氏)(写真・共同通信)

 

「女性総理」が今、政治でキーワードになっている。

 

 当然、性別に関係なく、候補に総理としての資質があることが第一なのはいうまでもない。ここで現在、女性の有力候補と目される方々について、コメントをしてみたい。

 

 

 まず、高市早苗経済安全保障相。前回の自民党総裁選で、安倍晋三元総理が推した人。安倍派は解散したが、高市さんはタカ派の流れを汲む女性候補として注目されている。いわば、永田町の論理で総理候補に挙がっているわけや。

 

 高市さんは大臣をいくつも経験し、知名度が高いし、「総理にふさわしい」候補の中で女性で1位と、国民的な人気もある。ただ、総理になって国民のためになる政策を実行してくれるかというと、正直言ってよくわからない。これまで何か大きな仕事をしたということもなく、大胆なイメージがあるが、じつは与えられた役職を無難にこなす人というのが実情かな。

 

 2024年1月、高市さんは大阪・関西万博の延期について進言したが、すぐに発言を撤回。これは、総理を目指す政治家としては大きなミスやったと思う。

 

「今は万博より能登半島地震の被災者支援を優先すべき」と考えるなら、あくまで筋を通すべきやった。

 

 きっちりと被災者支援をしたうえで、万博も実施できることを数字で示し、「両方できます」と言うのなら、それはそれでかまわん。

 

 でも、舌の根の乾かんうちに発言を変える人は、リーダーに向かない。万博延期発言は尾を引くように思う。

 

 次に上川陽子外相。私が国会議員だった2003年、「犯罪被害者等基本法」の議員立法に携わった際、与党の実務責任者が上川さんで、野党の実務責任者が私やった。ある意味で同志。法案が衆院本会議で可決されたときには、思わず2人で抱き合ったからね。

 

 2014年、上川さんが初めて法相に就任したとき、私は大臣室に胡蝶蘭を贈った。その後、お礼の電話があり、そこで「無戸籍」の子供たちの支援をお願いした。本来、国がやるべきことやと。

 

 1週間後、上川さんが記者会見で「無戸籍」問題のチームを立ち上げると発表した。大事だと思えばすぐにやる、決断力のある人やと思った。そういう経緯もあって、私は上川さんを高く買っている。

 

 ただ、自民党の党内力学を見れば、「上川総理」は難しいだろうと思っていた。ところが、ここへ来て “援軍” が登場。例の麻生太郎副総裁の「おばさん」発言や。失言とされたが、発言の内容自体は、麻生さんが上川さんを評価するもの。「上川総理」もあるかもしれん。

 

 3人めは、小渕優子選対委員長。かつて国会ですれ違うたび、小渕さんはいつも高級な服を着て大きな指輪をつけていた。「元総理のお嬢さん」程度の印象しかない。若くして大臣になったが、何かしたという記憶もない。「ドリル優子」のほうが有名やね。

 

 小渕さんがあかんと思ったのは、先日の前橋市長選と京都市長選の後のコメントや。前橋市長選では、自公推薦で現職の山本龍氏が、野党支援の新人に1万数千票差で負けた。京都市長選では自公候補が勝ったが、立憲、国民も相乗りしていた状況で、共産党が支援する候補になんとか勝てただけ。

 

 負けた前橋市のある群馬県は、小渕さんの地元。自民党選対委員長が、地元でボロ負けしたわけや。

 

 しかし、小渕さんは負けた前橋市長選については何もふれず、京都市長選に対してだけ、「今後の選挙に向けた弾みになる」とコメントした。その感覚が、国民から乖離(かいり)している。やっぱりお嬢さんで、国民のリーダーではない。

 

 4人めは、野田聖子元総務相。私が「発達障害者支援法」に関わった際、与党の取りまとめ役が野田さんやった。野田さんは福祉の問題なども含めて、弱い立場の人に気配りをしておられた。その意味で、私にとってはアリ。

 

 ただ、政治家としては「普通の人」。野田さんが総理になるのは、永田町の論理でもなかなか難しい。2021年の総裁選には出ているが、20人の推薦人を集めるのがやっとという状況が続いている。長い間、総理候補といわれながら、常に四番手、五番手。その状況は今も変わっていないと思う。

 

 最後は、小池百合子都知事。2023年12月の江東区長選、2024年1月の八王子市長選で応援演説をした際、萩生田光一前政調会長に接近した。小池さんにとって、かつては二階俊博元幹事長が自民党とのパイプだったが、萩生田さんに乗り換えた。これは、2024年4月の東京15区の衆院補選出馬への布石やないか。

 

 派閥がなくなった後も、政策集団の影響力は存続する。総裁選では、相変わらず派閥の論理がものをいうと思うが、なんやかやいうて、安倍派の実力者は萩生田さん。もともと小池さんは安倍派やったし、高市さんに代わって小池さんを総理にと、萩生田さんが動くかもしれん。小池さんが都知事を電撃辞任し、総理を目指すとしても不思議はない。

 

 小池さんの「風」を読む能力は天才的。1992年、細川護熙(もりひろ)元総理が旗揚げした日本新党に参加して、ナンバー2になっている。

 

 その後、小沢一郎衆院議員らが結党した新生党に参加し、さらに小泉純一郎元総理にも近づき、小泉内閣では環境相を務めた。そうやって時の権力者に取り入ってきた。

 

 自民党が弱体化している今、小池さんにとって総理を狙う好機。71歳になったけど、もうひと花咲かせたいと考えていてもおかしくない。

 

 特別編として、私がおもしろいと思うのは田中眞紀子さん。現在、80歳で終わった人やと言われるけど、バイデン大統領も80歳を過ぎ、トランプ前大統領も80歳目前。眞紀子さんは、最近も歯に衣着せぬ発言をし、国民の人気が高い。あえて眞紀子さんを持ち出したくなるのは、ほかの候補の存在感が眞紀子さんほどじゃないということでもある。

( 週刊FLASH 2024年3月5日号 )

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る