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「政権交代望む声が5割のいま、維新は“野党第一党”を目指している場合じゃない!馬場さんは私情を捨てて立憲と組み、自公に引導を」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第40回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.04.03 06:00 最終更新日:2024.04.03 06:00

「政権交代望む声が5割のいま、維新は“野党第一党”を目指している場合じゃない!馬場さんは私情を捨てて立憲と組み、自公に引導を」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第40回】

3月24日の維新の党大会。「維新は立憲と争ったところで、敵を利するだけ。吉村さんと幹事長の藤田さんは大同団結に変わる可能性ありやね」(泉氏)

 

 いよいよ政権交代が見えてきた。ANN(テレビ朝日系)が3月16、17日に実施した世論調査では、「自公政権の継続を期待する」が38%なのに対し、「政権交代を期待する」が46%と上回った。

 

 調査では内閣支持率が20.9%と、依然として過去最低の水準をさまよっている。自民党の支持率も35.5%と、かつての野党時代と変わらないぐらいに落ち込んだまま。

 

 

 それもそのはず。いまの自民はあまりにひどい。政倫審にしても、自民議員のびっくりするぐらい開き直った対応に終始した。これでは支持は戻らんやろね。国民は、自民にも岸田内閣にもうんざりしているということや。

 

 世論喚起、大同団結、候補者調整、そして政権交代という流れが、私の「救民内閣」構想のシナリオだが、正直なところまだ早いと思っていた。それが、いまはサッカーでいえば、ゴール前にいきなりボールが転がってきた状態。後はちょこんと蹴るだけ。

 

 問題は、自民に代わる勢力がないこと。野党は相も変わらず支持率が低迷し、国民に期待されていない。「支持政党なし」が、最大野党みたいなもん。だが、状況は変わった。政権交代を求める世論が高まっている今、野党にとって最大のチャンスや。

 

 しかし、3月24日に開かれた日本維新の会の党大会には失望した。ゴール前のボールを反対側に蹴るような内容。

 

 次の総選挙で、野党第一党と与党の過半数割れを目指し、今後3回以内の総選挙で政権獲得を実現する――という活動方針が決定されたが、ツッコミどころが満載。

 

 まず「野党第一党」を目指すというが、それはたんなる立憲民主党への対抗心。立憲と争っても、自公政権の延命を助けるだけ。「我が党」を優先した党利党略にすぎない。実際、馬場伸幸代表は、野党第一党になることは難しいとも明かしている。

 

 それに「与党の過半数割れ」は、言葉だけでどうやるのかがわからん。つまり、維新が連立入りするということやないかと私は疑っている。

 

「3回以内の総選挙で政権獲得」という目標も、何年待たせんねん! 国民は、いますぐの政権交代を望んでいる。せめて、「直近の総選挙で政権交代を果たす」と言うべき。国民の意識とズレすぎている。

 

「日本を二大政党にして保守政党同士の改革合戦に持っていく」とも言い、あきれるわ。まさに第二自民党やないか!

 

 そもそも、日本には二大政党の時代なんてほとんどなかった。細川政権以降、ほぼ連立政権。実際、いまの選挙制度では二大政党にはならない。なにより、いまの維新に二大政党の一角になる力はない。

 

 加えて、いちばん残念だったのが、馬場代表が「できるだけ多く小選挙区に候補を立てる」と明言したこと。有権者は小選挙区で投じた候補と同じ党に比例でも入れようとするから、多くの小選挙区にカカシのような泡沫候補でも立てれば、選挙区で落選しても比例で自党の誰かは当選するという発想。小選挙区で勝つ気がそもそもないわけや。

 

 これでは、選挙区で自民を利するだけ。自民支持が4割なら、残り6割がまとまれば野党が勝てるのだが……。

 

 与党は、自民と公明党の棲み分けがガッチリとなされている。その与党チームに対し、野党が割れてしまったら、その時点で競り合っている小選挙区では負け。維新は負けに突っ走っていて、結果的に自公を延命させている状況。それこそ、自民から裏金でももらってるんちゃうかと言われそうな対応や。

 

 野党が勝てないのは、選挙制度にも原因がある。いちばんの問題点は、小選挙区と比例代表ブロックが重複立候補できること。これに関しては、野党同士が合意して重複立候補をやめる。そして、予備選をして候補を一本化すれば、与野党一騎打ちになり、野党勝利の可能性が出てくる。

 

 また、日本では選挙運動の規制が多すぎる。他国では自由にできる戸別訪問が禁止され、ビラの枚数も制限されていて、新人が出にくく現職に有利な制度になっている。

 

 ただ、この理不尽な状況は、法改正しなくても争点を明確にした政権選択選挙ができれば、解消されるはず。

 

 低投票率も与党に追い風になる。しかし、政権交代の機運が高まれば、投票率がハネ上がるし無党派層も動くから、与党にとって必ずしも有利ではなくなる。

 

 じつは、野党の大同団結は難しくない。立憲と国民民主党は、ほぼ選挙区の棲み分けができている。国民民主から分かれた前原誠司さんの「教育無償化を実現する会」とも共闘可能。共産党も、状況次第では候補を降ろしてくれる。

 

 全国に候補を出す維新が候補者調整に舵を切った瞬間、政権交代が見えてくる。

 

 維新と立憲は国家観が違うというが、自民なんて党内で思想はバラバラ。連立を組む公明も、自民とはスタンスが相当違う。みんな「権力」の一点でくっついているだけ。維新と立憲も、権力掌握が現実的になれば組めるはず。

 

 じつは維新のなかにも、立憲との選挙協力を望む議員はいる。吉村洋文大阪府知事や藤田文武幹事長は、候補者調整に舵を切る可能性がある。立憲の野田佳彦元総理も「立憲は関東、維新は関西」と棲み分けを提言しており、それもひとつの手かもしれん。

 

 やはり、維新と立憲が組んで、候補者を一本化さえできれば、一気に状況は変わる。2017年の「希望の党」の結党直後のような流れができるかもしれん。

 

 問題は馬場代表。元自民だし、立憲を極端に嫌っている。馬場代表が変われば維新も変わるやろうけど、当面は難しそう。維新は万博問題や不祥事続きで一時の勢いを失っており、むしろもっと人気がなくなったほうが、大同団結にシフトする可能性がある。

 

 いずれにせよ、維新が鍵を握っている。政権交代か自公政権をのさばらせるのか。どうする維新。

( 週刊FLASH 2024年4月16日号 )

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