自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、森喜朗元首相への電話聴取に関する岸田文雄首相の答弁が物議を醸している。
森氏は1998〜2000年、2001〜2006年の間、清和政策研究会(安倍派)の会長をつとめた。安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断に森元首相が関与していた」と証言したとも報じられており、裏金事件のキーマンとされる。
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4月22日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也幹事長から「なぜ電話だったんですか?」と問われた岸田首相は、「森元総理の日程等の調整のなかで電話によっておこなうことを決定した次第です」と説明した。
さらに、岡田氏から「電話で確認されたときに総務会長とか幹事長は同席されていましたか。電話の横にいて一緒に聞いておられましたか、そして記録はあるんですか」と問われると、
「私の責任で聞き取り調査をおこないました。記録はございません」
と答えた。
委員会室でどよめきが起きるなか、岡田氏は「それはなにもしてないのと一緒ですよ」としたうえで、「総理自身が(聴取を)電話でやって、記録もないし、周りに人もいなかった。『何もなかった』と誰が信じるのか」と批判した。
「岸田首相は3月9日、能登半島地震で被災した石川県が東京・八重洲に設置したアンテナショップのオープン記念式典に出席。式典には地元の森氏も出席し、あいさつしています。しかし、岸田首相は式典前、森氏に会釈しただけ。式典後も握手をかわしたあとは話し込むこともありませんでした。
また、3月17日には自民党の党大会に森氏も出席。時事通信が報じたところでは、森氏は会場で顔を合わせた党幹部に『苦労をかけている』などと話しかけていたといいます」(政治担当記者)
岸田首相の森氏への電話聴取については、4月12日の「現代ビジネス」が詳細を報じている。
報道によると、電話聴取がおこなわれたのは、4月2日あたりで時間は3〜5分。事情聴取などという内容ではなく、質問は2つほどで、あとは体調を気遣ったり、「ご指導をお願いしたい」など、ご機嫌うかがいのような内容だったという。
4月17日、参院本会議でこの点を問われた岸田首相はこう答弁した。
「私の森元総理への聴取については、最大限の協力を得る観点から、やりとりの内容等を明らかにすることはしないという前提でおこなったものであり、詳細をお答えすることは差し控えますが、結論として、森元総理の具体的関与は確認できなかったところであります」
聴取内容に関する具体的な答弁をしないうえ、「記録はございません」と言い放った岸田首相に対して、SNSでは批判的な声が殺到している。
《子どもの使い以下だな。》
《これすごいね。何もしてないのと一緒。こんなスッキリしない答弁しかできない政治家にこれからも日本を任せられるの?》
《森さんは、石川のアンテナショップイベントでめちゃくちゃ元気そうだったじゃない 馳さんも一緒になって、めちゃくちゃ元気そうだったじゃない 森さんは、国会で話すくらい出来るんじゃないですか》
《こんな言い訳が通用すると思ってること自体、国会を舐めてる。国民をバカにしてる。嘘が付けないように、森元首相の証人喚問と同時に岸田首相の証人喚問も必要ですね》
毎日新聞が4月20・21日に実施した全国世論調査では、森氏に国会で説明を「求めるべきだ」は84%。自民党支持層でも6割強が「求めるべきだ」と回答したという。
岸田首相があいまいな答弁を繰り返しても疑惑は深まるばかり。国会で、衆人環視のもと、森氏に「事情聴取」すべきではないか。
( SmartFLASH )