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メタに「乗り込む」と告げたら広告はきれいに消えた。国は「なりすまし防止法」を制定せよ【泉房穂の「ケンカは勝つ」第43回】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.05.08 06:00 最終更新日:2024.05.08 06:00
前澤友作さん、ホリエモン、池上彰さん、そしてがん闘病中の森永卓郎さんまで……。有名人になりすまして、フェイスブックやインスタグラムの偽広告でカネを騙し取る「SNS型投資詐欺」。被害総額は2023年だけで300億円近いとされ、2024年に入り、さらに被害は増え続けているようだ。
これについてはSNSの運営事業者、とくにメタの責任は大きい。詐欺広告が出まくっているにもかかわらず放置し、被害を拡大させた。
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私もなりすまされた一人。メタに広告の削除を要求しても、返ってくるのは「泉房穂の広告は削除されませんでした」という自動回答。「メタの審査チームによる審査の結果、泉房穂の広告はコミュニティガイドラインに違反していないと判断されました」というのが理由。
同社のルールでは、猥褻な内容などの場合には削除されるが、発信者が他人になりすます場合は削除対象となっていないのかもしれない。いずれにせよ、なりすまし対策が不十分であることは明らか。
もっとも私の場合に限っては、結論を言えば、最終的にメタは削除に応じた。結局、削除できないというのは開き直った末の嘘やったわけよ。
それにしても驚いたのは、偽広告の巧妙さ。初めて自分の偽広告を見たとき、誰かが私の代わりに作ってくれたんやないかと思ったほど。写真は全部、私自身のものを使っている。文章も、私が実際にしゃべったり書いたりしたものを切り貼りしている。最後に投資の話になり、登録は無料と出てきてLINEに誘導される。
じつは、いっぺんLINEの偽アカウントに接触してみた。「あなたは本当に泉房穂さんですか。それとも代理の方ですか?」と質問すると、「もちろん、私自身です」という返事。お前、誰やねん! 一瞬、どっちが本物かわからん、へんな感覚に襲われた。本人でさえそうやから、他人は絶対に騙されてしまうわ。
実際、「泉さん、登録したよ」という声が私のところにも届けられる。投資に縁のない私が無料ですすめるから、逆に説得力があるのかもしれん。ほんまにタチが悪い。
メタに対しては法的手段をとることも考えている。広告料で多大な利益を得ながら、被害を見て見ぬふりを続けるのは、不作為による詐欺の共犯になりうる。私がXでメタを刑事告発すると書いたら、私の携帯にメタの担当者から電話があった。しっかりした受け答えやったけど、私のなりすましを知らんという。
メタは公式声明でも、詐欺広告の根絶には、産業界や専門家、関連機関との連携による「社会全体のアプローチ」が重要とし、他人事のスタンスで開き直りを続けていた。
そこで、私のなりすまし画像を大量に送って、これらを含めて全部削除しろと伝えた。
そもそも、私はフェイスブックやインスタグラムで発信していない。私の名前で検索して出てくるのはなりすましやから、全部消せるはずだと強く迫った。
メールと電話でやり取りしても埓が明かんから、メタに直接乗り込むと告げた。向こうは「止めてください」と言ったが、「いや、行くから」と電話を切った。そして、私が訪問する予定の4月26日の朝。私のなりすまし広告は、いったん全部消えた。人海戦術で一つずつ手作業で削除を続け、突貫工事で全部きれいにしたとのこと。できない言い訳をこれまでしてきていたが、要はやる気になれば本当はできるということ。
でも私以外にも、なりすまされた被害者はいる。そんならほかの人も削除したれよ。私のなりすまし行為がなくなったら、それでいいというわけやない。
メタには民事、刑事で責任追及を検討中
メタとは違ってXは、なりすましだと通報すると、きちんと削除するし、そのアカウントの凍結もする。すなわちXは、こちらの要請にある程度応えてくれる。でも、メタの言い分は「違反ではありません」「見たくなかったら、あなたには表示しない」。通報している人に対し、「あなただけ広告を表示しません」って、意味がわからん。なんの対策もやる気がない証拠や。
そのことも、メタの担当者に言うた。「人に喧嘩を売るような文章を書くのは、メタの信用を落とすだけや」と。担当者は「おっしゃるとおりです。見直します」と言うてたから、近日中に自動回答文も変わるかもしれん。
私も含め、詐欺の広告塔に使われた人は被害者ではあるが、詐欺に遭った人から見ると、加害者の一角。さらに、騙された人から見たら、泉に騙されたということになる。当然、私としては看過できない。
4月25日、詐欺の被害者4人がメタの日本法人を相手取って神戸地裁に提訴した。詐欺グループが民事責任を負うのは当然やけど、対策を怠ったメタも同様の責任を負うべきやと思う。
そして、国は一刻も早く「なりすまし防止法」を制定せなあかん。ポイントはふたつ。第一に、「なりすまし」に罰則を設けること。現在、SNSという新しい分野ではなりすまし行為そのものを罰する法律がない。他人になりすますことは許されないと規定することが重要。
ふたつめは、SNSの運営会社の責任を明記すること。「運営会社がSNSで詐欺に気づいたら、その対策を取ること」と、きちんと法律に明記すればいい。
メタの対応が今後もひどいようなら、民事、刑事の両面から法的責任を追及しようと考えている。神戸で提訴した11人の弁護団には、私の知り合いもいる。団長とも連絡を取り合っているので、私も参加するかもしれん。なりすまされて、信用を毀損された被害者の立場で提訴は可能。場合によっては、ホリエモンや森永さんらにも呼びかけ、なりすまされた者同士で名前を連ねて、刑事告発するのもあり。そして、政府や与野党にも、なりすまし防止法の成立を働きかけていきたい。
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