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映画館入ったら「顔」撮影「新宿ピカデリー」防犯カメラで顔認証公表も即延期…「マーケティング」目的には非難轟々
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.05.22 17:23 最終更新日:2024.05.22 17:23
5月9日、ピカデリーやMOVIXなどの映画館を運営する松竹マルチプレックスシアターズが、16日から「顔認証システム」を導入することを発表した。
導入予定の新宿ピカデリーの公式サイトで発表された「ご案内」(削除済み)によれば、《カメラの画像から不正入場・万引き行為・入退場状況などの振る舞いを検知し、防犯やマーケティングに役立てる》のが目的だった。
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「詳細を読むと、『防犯』と『マーケティング』の2つの大きな目的があることがわかります。
『防犯』では万引き・窃盗・器物損壊などの犯罪行為、盗撮・カスタマーハラスメントなどの迷惑行為を防ぐとのこと。
一方、『マーケティング』は、《利用状況を深く理解するための集計や統計分析》などに活かすとあります。マーケティング目的の場合、顔認証はおこなわず、個人が特定できない “属性情報” に変換したうえで使用するそうですが、映画館に入っただけで顔を撮影されることに変わりはありません。
しかも、マーケティング情報は『取引先企業』に提供するとあり、データが知らないうちに流用される可能性もあります。この件がXなどSNSで話題になると、大きな批判が集まりました」(週刊誌記者)
実際、Xには、
《防犯目的でなく、マーケティング目的も入ってるわけ?これ許されるの??ちょっと俄に信じられない話なんだが。》
《セキュリティ関連は仕方ないと思うけど、マーケティング目的はやめてほしいな》
《分析した情報をマーケティング会社に好きに売らせていただきますありがとうって言ってんの?》
など、怒りと疑念を抱く声が多く集まっている。
こうした批判を受けてか、同社は発表からわずか6日後、突如実施の延期を発表した。《運用面を含めた準備について時間を要しているため、導入時期について見送りをさせていただく》とのことだ。
なぜいったん見送る形になったのか、一連の経緯について松竹マルチプレックスシアターズに確認した。
――なぜ見送りになったのでしょうか。
「社内で調節中のため、特にお話しすることはない」
――今後、準備が整い次第、導入する予定?
「それに関しても準備中ですので」
「内閣府傘下の『個人情報保護委員会』は、公式サイトで、《当初防犯目的のために取得したカメラ画像やそこから得られた顔特徴データを、マーケティング等の商業目的のために利用する場合には、あらかじめ本人の同意を得なければなりません》と明記しています。
つまり、今回の件では、きちんと個人個人に了解を得る必要があるわけです。
実は、2021年、JR東日本が、刑務所からの出所者・仮出所者を検知するため、顔認証システムの導入を発表しました。しかし、批判が多く寄せられ、『社会的なコンセンサスが得られていない』とのことで、導入を取りやめているんです。
防犯目的でも批判されたわけで、ましてマーケティングという商業利用に強い批判が集まるのも当然でしょう」(同)
世間の不安を払拭するためにも、実施されるときには十分な説明を求めたい。
( SmartFLASH )