社会・政治
「岸田さんは勘弁」支持率暴落で茂木、石破、河野「次期総裁選」有力3氏が見せた“色気”議員が迫られる「地獄の選択」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.05.30 06:00 最終更新日:2024.05.30 06:00
冬ごもりの虫が這い出るという、3月頭の「啓蟄(けいちつ)」はとうに過ぎ――永田町もうごめきだした。
「録画をしていなくても『不適切にもほどがある!』がいつでも観られる。阿部サダヲさん、うまい!」
インターネット番組で、動画配信サービスNetflixの利便性をこう熱弁していたのは、自民党の茂木敏充幹事長(68)だ。
【関連記事:岸田首相、ついに始まる「メガトン増税」4万円の減税後は「森林環境税」「扶養控除縮小」「年金支払い5年延長」の猛攻】
番組内でもたびたび紹介された「怖い」という印象を覆すかのように、終始、穏やかな表情で質問に答えているのがなんとも不気味。
政治部記者はこう話す。
「当然、番組内で『総理になれるか?』という質問も飛び出し、茂木氏は『わからないです』と苦笑していましたが、間違いなく今回のメディア露出は9月におこなわれる自民党総裁選への布石ですよ」
茂木氏が秋を見据えるのも無理はない。低迷する内閣支持率に追い打ちをかけるように、自民党主導の政治資金規正法改正案でも、国民から岸田文雄首相(66)に対し、猛批判の声があがっているからだ。
「野党案とは内容面で乖離が大きく、このまま自民党案を押し切れば、国民は納得しないでしょう。反発が強まり、『すわ政権交代』となる前に自民党が進めておきたい議論に一定の目途をつけるためにも、岸田首相は6月23日に迎える会期末を、2カ月ほど延長しようという思惑のようです。
さらに、会期中に内閣改造と党役員人事をおこない、茂木氏に代えて、国民からの人気が高い石破茂氏(67)を幹事長に据える案も聞こえています。総裁再選のために、支持率を回復した状態で秋を迎えようという魂胆でしょう」(同前)
しかし、首相が“身内”に引き込んでおきたい石破氏も、5月22日に登壇した講演会で「誰も準備していません、なんてことは、はなはだ無責任」と話し、総裁選出馬への意欲をこれまで以上に強めている。
そしてもうひとり、色気を出し始めたのは「マイナカード問題」で大きく国民の期待を裏切った河野太郎デジタル大臣(61)。
21日夜に麻生太郎副総裁(83)と会食し、岸田政権に苦言を呈したという。こちらも総裁選をにらんでいるようだ。
「会期延長は、政権運営のためだけの案ではないと思います」と話すのは、元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏だ。
「秋の総裁選に向けて、ほかの候補者を“足止め”するためです。国会が開いている間は、総裁選に向けて支持者を集めたり、全国行脚したりすることは大っぴらにはやりにくい。なにより、河野氏のような閣内にいる者はますます動けないでしょう。石破氏、茂木氏は、それを見越して早めの動きを見せているはずです」(同前)
だがいかんせん、岸田首相に対抗しようという3名は「人気面」に課題が残る。
「長年、言われているように、石破氏は同僚議員に好かれていない。旧安倍派と麻生派という党内の2大勢力に嫌われていますし、裏金問題で『人の不幸を喜んでいる』と批判する声も聞こえてきています。
茂木氏と河野氏も似たり寄ったりですが、とくに茂木氏は世論調査でも人気がなく、総選挙を考えると、茂木氏が首相になることを望む議員はほとんどいません」(同前)
そのためのメディア露出なのだろう。一方、「石破さんはそれなりに総裁選への自信があるはず」とは、政治ジャーナリストの野上忠興氏。
「党内からは『党員対策をしっかりやるべき』という声が出てきていますが、これは党員人気が高い石破さんを有力な総裁候補に浮上させるため、“党員票の比重を高めよ”という意味です。
党員ばかりか、国民人気も高い石破さんでなければ、総選挙を勝ち抜けないと見ている議員は多い。実際、中堅議員のひとりは『もはや石破さんの好悪を言っている場合ではない』と話しています」
菅義偉(よしひで)前首相の不出馬もあり、2021年総裁選で「総理」の座を射止めた岸田首相。今度は自身が菅前首相と似た立場に置かれているが、その心境とは。野上氏が続ける。
「独裁的な決断を次々とおこなってきたことで、党内には『岸田さんが“選挙の顔”は勘弁』という空気が充満しています。首相周辺によれば、それでも『絶対に引きずり下ろされることだけはごめんだ』と考えていて、再選意欲に拍車がかかっているそうです」
まだまだ“虫の息”ではない模様。しかし、現在の自民党への信頼の低さをみると、誰が総裁に選ぶか自体が、議員にとって“地獄の選択”といえそうだ。