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2019年までの銀行再編を加速する「バーゼル基準」社会・政治 投稿日:2017.11.24 06:00

2019年までの銀行再編を加速する「バーゼル基準」

『写真:AFLO』

 

 ゆっくりとではあるが、地銀が国際展開を進めている。
 2017年5月末に流れた、JICA(国際協力機構)東北支部と東北の地銀4行が新たに提携する、というニュースはその一例だ。

 

 4行とは秋田の北都銀行と秋田銀行、山形の荘内銀行と山形銀行、加えて北都と荘内の親会社であるフィデアH(本社、仙台市)である。JICA東北支部は既に青森銀行、岩手銀行と七十七銀行(宮城県)と提携しているようだ。地銀と政府機関が提携するのも珍しくない時代だ。

 

 実は、海外で支店を開設している邦銀は、「バーゼル基準」(国際的に事業を営む銀行が守らなければならない国際統一基準)に従って、8%以上の自己資本を持つことが義務付けられている。

 

 銀行界では一般的であるが、世間ではあまり知られていない。このバーゼル基準が銀行再編の要因となり得るのだ。

 

 まずバーゼルの意味だが、これは国際決済銀行(BISと略される)の本部がスイスのバーゼルにあることに起因する。その国際決済銀行は、1930年設立。もともとは第一次世界大戦に敗れたドイツから賠償金を取り立てるための機関だった。

 

 これが第二次世界大戦後、衣替えし、現在は各国の中央銀行(日本だと日銀)の間に立って利害調整を行う国際機関として機能している。

 

 バーゼルにはいくつかの委員会があり、そのうち「銀行の健全性」を監督しているのがバーゼル銀行監督委員会、通称「バーゼル委員会」だ。この委員会、あるいはBIS全体を指して、銀行界では「バーゼル」と言っている。米国政府のことをワシントンと通称するのに似ている。

 

 バーゼル委員会は過去に2つの銀行監督基準を決議してきたが、現在は3つ目の基準を討議中だ。いくつかある中で一番、重要なものは「自己資本比率」である。

 

 国内のみで活動する(海外の駐在員事務所は例外)銀行は、ティアワンと呼ばれる中核的資本(簡単に言えば、株式発行で集める自己資本)が現在のところ、4%あればよいことになっている。

 

 国際統一基準行(海外支店のある銀行)なら8%必要だ。現在検討中のバーゼルスリーと呼ばれる基準ではこれを10.5%に引き上げることが提案されている。施行予定は2019年だ。

 

 地銀等の自己資本比率の平均は10%である。どの地銀もこの基準を楽々クリアできるかといえば、そう簡単でもない。今ある(と地銀等が信じている)自己資本がバーゼルスリーでは減るかもしれないのである。

 

 その最大の原因が銀行間の「株式持合」にある。新基準(バーゼルスリー)が採択されると、他行が所有している自行株については、自己資本から控除しなければならなくなる。

 

 例えば、自己資本額が1000億円で、他行が(持合のため)3割を所有している銀行ならば、300億円(1000億円の30%)が自己資本から減らされるのである。これは由々しき事態だ。

 

 しかし、地銀等は焦っていない。なぜならば当局がこの基準を日本の銀行全てに当てはめる気がないことを知っているからだ。

 

 現在でも対象となるのは国際統一基準行のみ、そしてバーゼルスリーでは厳密に自己資本の充実を求められるのは世界でわずか30行、日本からは三菱UFJ、三井住友、みずほに加えて野村ホールディングス(野村證券の親会社)だけとされている。

 

 だが、将来は違う。実は、このバーゼル基準は、欧州の銀行によって邦銀を弱めるために作られたものである。欧州のみならず米国や他の加盟国の中央銀行(自国の銀行を監督する)は、機会があれば邦銀を弱くする施策を出してくる。

 

 自己資本が相殺されるというのも日本の銀行間(に限らないが)の株式持合を狙い撃ちしたのは明らかだ。

 

 なぜならば、日本以外の国では銀行は他行の株を持たない。持つ場合は100%支配するためだけだ。米国の銀行に至っては、そもそも政策株式(取引先との長期的関係を願って、銀行が企業に出資する=企業株を買うこと)の保有が禁じられている。

 

 結論はこうだ。

 

 いずれ遠くない将来に邦銀全てが国際基準をクリアすることを求められる。そして、銀行間の持合が自己資本から相殺されるため、自己資本の絶対額を減らしたくなければ、持合を解消するか、銀行合併をするしか道がないということになる。

 

 実際、メガバンクは親密地銀に出資する額や比率を減らしている。これこそ、銀行再編の遠因なのだ。

 以上、津田倫男氏の新刊『2025年の銀行員 地域金融機関再編の向こう側』(光文社新書)から引用しました。地銀、信金の再編が進まない理由をまとめ、生き残れる銀行員の処世術を考えます。

 

●『2025年の銀行員』詳細はこちら

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