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「心臓発作」「足指5本切断」死亡例まで…サウナ事故急増で消費者庁が注意喚起、過度な温度差は中高年に危険
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.06.06 17:57 最終更新日:2024.06.06 18:09
6月5日、消費者庁が公式HPで「サウナでの事故」に注意を呼び掛けた。
消費者庁のデータ提供システム「事故情報データバンク」に登録されているサウナに関する事故は、2024年4月末の時点で78件で、そのうち死亡事故は2件。2021年度までは平均して年間4件ほどだったが、2022年度からは年間10件と急増しているという。
「ととのう」という言葉とともに、サウナがブームとなったことにより、増加したものとみられる。
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サウナ事故の具体例は、以下のようなもの。
・サウナを利用中、熱いと思ったものの10分間ヨガのポーズをとり続け、臀部にやけどを負った。(20代女性)
・スーパー銭湯のサウナ室で、座った状態で意識を失っているのを、スタッフが気付き救急搬送。意識を失っていた間に重度のやけどを負い、右足の指を5本切断。(70代男性)
・スポーツクラブのサウナで心臓発作を起こし3日間入院。以前、心筋梗塞を起こしたことがあった。(50代女性)
消費者庁のリリースでコメントしている温泉療法専門医は、「サウナ後の水風呂」について、「急激な温度差は、いわゆるヒートショックのような状況を作り出して体調不良を起こす危険性」があり、「脳卒中や心筋梗塞、狭心症を発症するおそれがあり、脈の低下による不整脈が原因で意識を失うこともあります」と指摘。
消費者庁では「体調に合わせて無理せず安全に」サウナを利用するよう、注意喚起している。
「急激な温度変化により血圧が変動、心臓や血管の症状が起きるのがヒートショック。日本では、年間1万7000人程度が入浴中に死亡し、その多くがヒートショックによるものといわれています。
今回消費者庁が公表したデータは78件ですが、すべての事故が登録されているわけではなく、これは“氷山の一角”にすぎません」(週刊誌記者)
本誌も2024年2月、「45歳からの正しいサウナの入り方」について取材。浴効果を研究し続けて25年の医師で、東京都市大学人間科学部学部長の早坂信哉教授は、過激な温度差は、中高年にとってむしろ危険だと語っていた。
「一般的なサウナでは、まず温室に入って血管を広げる。さらに、水風呂に入って急速に血管を縮める。ところが、私くらいの年齢になると、体のいろいろなところが心配になってくるんですよ(笑)。50代にもなると、心臓や脳の血管に問題があったり、血管が傷ついていたりしています。しかも本人は、そのことに気づいていない場合が多い。こうした状況で水風呂に入ると、急速な血管の収縮により、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクが高まり、非常に危険なんです。実際に海外では、冷水浴後の血圧は、脳内出血の危険が高まる200以上にまで急上昇するという研究があります。『50代以上は、水風呂に入るのは危険だ』というのが私の考えです」(早坂教授)
早坂教授は「入り方さえ気をつければ、むしろ健康には効果的だ」とも語っていた。“サウナブーム”の真っただ中だが、無理な利用は危険と隣り合わせであることを覚えておきたい。
( SmartFLASH )