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難行苦行の「年末大掃除」いい加減やめにしませんか社会・政治 投稿日:2017.11.27 11:00

難行苦行の「年末大掃除」いい加減やめにしませんか

『写真:AFLO』

 

 年末恒例の難行苦行といったら、年賀状書きよりも大掃除だ。そうでなくても、忘年会だ、クリスマス会だと忙しいこの時期に、なぜ大掃除が必要なのか。

 

 一年の汚れを落として、新しい年を迎える。これはもともと、煤(すす)払いという神道行事にその端を発するものらしい。

 

 神社本庁のウェブサイトによると、大掃除は「正月迎え、ことはじめ、ええことはじめ、まつならし等と呼ぶ地域もあり、掃除とともにお正月に年神さまをお迎えする、お正月準備のはじめとも言われてい」るとのこと。

 

「全国的に12月13日に行われることが多く、(中略)今でも各地の神社で」受け継がれている行事だ。

 

「江戸時代は煮炊きは薪(たきぎ)であったため、家中に煤がつくので、天井の煤まで払う必要がありました。陰暦の12月13日は『煤払い』の日と決められており、江戸城内にならって江戸中が煤払いを行ったようです」と「尼崎市神社あんない」にある。

 

 幸いにして、現代のコンロは竈(かまど)ほど煤が出ない。江戸時代が終わってすでに150年。熱心な神道信者で、年神様をお迎えする上でどうしても、家中を祓い清めねばならないという人はともかく、一般の、年に一回初詣に行くか行かないか程度の神道信者なら、わざわざ年末の忙しい時期に煤払いなんかしなくてもよいのではなかろうか。

 

 ちょっと汚れたままの所に年神様をお迎えしてみて、厄年のような状態になってしまったら、気になる人は年末にちょっと煤払いをしてみる程度で十分だろうなどというのは、あまりに不信心か。

 

 じつは、年末に大掃除をしなくてもいいのではと考える理由は、こうした宗教的要素だけではない。

 

 昨今の食の西洋化で、台所の汚れが煤から油へと変わったことも、大きな理由である。油は寒いと固まってしまい、落とすのに手間がかかる。冬に掃除をするのと夏にするのだったら、夏の方がよほど手間がかからない。

 

 ましてや、大掃除の日だからと早起きをして、気温の下がりきった早朝から換気扇の掃除を始めるなど、愚の骨頂だ。

 

 家中の窓を開け放って掃除をするのも、エネルギー効率を考えると、いかがなものか。褞袍(どてら)と火鉢という個別暖房の時代なら、窓を開けて外の寒い空気が入ってきても、室温への影響はたかが知れている。

 

 しかし、高気密の家で家全体をしっかり暖房した後に、窓を開け放して家中の気温を外と同じくらいまで落とし、窓掃除の後、また暖房をして一から室温を上げるとなると、これは膨大なエネルギーの無駄遣いだろう。

 

 そんな効率の悪いことを、江戸時代の習慣を引きずって続ける必要がどこにあるというのだろう。

 

 欧米にはスプリング・クリーニングといわれる大掃除がある。春になると家のほこりをとるべく掃除をするのだ。

 

 ちなみに、キリスト教社会では、春にイースターというクリスマスと並ぶお祭りがある。日本のように、家を清めてキリストの復活を祝うのだろうか? イースターとスプリング・クリーニングの関係やいかに? そう思って、複数のクリスチャンのアメリカ人やイギリス人に聞いてみたが、「家の掃除とイエス・キリストの復活にどういう関係性を見いだそうとしているのか」などと逆に質問される事態に陥ってしまった。

 

 彼らの理解によれば、冬の間は寒さが厳しく、燃料を少しでも効率的に使いながら家の中を暖めるためには、暖房のスイッチを切ったり入れたりせずに一定に保ったり、窓をなるべく開けないようにするといった工夫をしているので、春になって、窓を開けたら、空気を入れ換え、掃除をするだけのことだという。

 

「キリスト教と掃除が関係があるのかなんて聞いたのは、あなたが初めてよ」と苦笑されるに至り、掃除を宗教に結びつけるのは日本人くらいなのかもしれない、と気がついた。

 

 そういう意味でも、あまり、「やらねばならない」と厳格に自らを追い込まず、日本の習慣を尊重する上でちょっと掃除をする……程度のスタンスが広がると、掃除をする側は気分的にずいぶん楽になると思う。

 

 塵(ちり)一つない部屋でお正月を迎える家庭の主婦が「いい主婦」だなんて、そんな時代はもう終わりにしたいものだ。

 以上、佐光紀子氏の新刊『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社新書)より引用しました。母親への目に見えない圧力となっている日本人の「完璧家事」志向を検証し、気楽で苦しくない家事とのつきあい方を提案します。

 

●『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』詳細はこちら

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