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国立・積水ハウス新築マンション「突然解体」の謎「富士山が見えなくなった」の裏で地元住民が囁く“粘着クレーマー”の影
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.06.18 06:00 最終更新日:2024.06.18 06:00
「せっかく建てたのに……ウラがあるんでしょ」(地元住民)
東京・国立市の国立駅から南西に延びる富士見通りはその名のとおり、富士山の眺望が臨めることが特徴だ。現在、同地に建設された1棟のマンションが、にわかに注目を集めている。
「積水ハウスが手がける『グランドメゾン国立富士見通り』です。地上10階建てで、総戸数は18戸。7~8000万円ほどで販売され、7月には引き渡しの予定でした。しかし6月3日、突如として積水ハウスが事業中止と解体を決定したのです。同社が被る損害は、10億円程度といわれています」(社会部記者)
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マンション建設をめぐり、地域住民の反対で計画が頓挫するのはよくある話。しかし、完成後に解体されるのは、まさに異例中の異例だ。
「このマンションのせいで富士山の一部が見えなくなる、という懸念は計画段階からありました。日照権の問題もあるし、住民から反対の声は上がっていましたが、たとえば市民団体を結成し、一丸となって抗議をするような、力強い反対はなかったです」(前出・地元住民)
ではいったい何が――。まずは公的な見解を確認しよう。国立市の都市計画課の担当者はこう語る。
「景観に配慮するため、高さを31mから26m程度に下げていただいたという経緯はありますが、着工後は住民から反対のご意見はなく、完了検査も終わっていたので、私どもも驚いています」
続いて、当事者の積水ハウスに問い合わせたところ、計画段階から「地域の皆様に配慮した設計」を目指していたものの、完成が近づいたところで「建物が実際の富士見通りからの富士山の眺望に与える影響を再認識し、あらためて本社各部門を交えて広範囲な協議をおこないました」。そしてその結果、自主的に事業中止を決定したという。
つまり「建ててみたら、富士山が見えにくくなったから、やめた」というわけだ。
2023年度の売上高は3兆円超え。国内屈指の一流企業が、まさか完成後の眺望を予期できなかったはずもない……。
地元住民にさらに聞き込んだところ、“ある人物”の存在が浮かび上がった?。
「着工前に、何度か住民への説明会が開かれましたが、納得していない人はけっこういたみたいですよ。なかでも個人で猛烈なクレームを入れる“怖い人”がいたそうで、ヤクザとつながっているんじゃないかと噂になっていましたね」(60代男性)
“目撃証言”もある。
「工事が始まってから、毎日のように現場に来て苦情を言うおじさんを見たことがあります。組織じゃないからこそ、対応に苦慮したのではないでしょうか」(40代男性)
こうした証言を裏づけるように、地元で長年、経営している小さな不動産会社の社長はこう語る。
「やっぱり、クレームじゃないかな。ここらへんは3世代、4世代にわたって古くから住み続ける地主さんが多いんですよ。彼らは近隣住民にも慕われているので発言力が強く、マンションの開発計画が持ち込まれるたびに騒ぎ立てますからね。戸建て住宅ですら、3階建ては稀ですよ。そういう土地柄なんです」
つまり、同マンションに粘着し続けた個人クレーマーに、積水ハウスが折れたということなのか――。
同社に問い合わせたところ「そのような事実はなく、さまざまなお声をいただいたことを踏まえ」中止を判断したという。
だが、積水ハウス側に「揉め事を起こしたくない」という事情があったのは間違いない。不動産関係者が語る。
「同社は、2017年に五反田の土地取得をめぐり、地面師に約55億円をだまし取られるという被害に遭っています。それ以来、コンプライアンスに非常に厳しくなりました。しかも、都内では板橋区大山を再開発し、タワマンを建設する計画がありながら、住民による大規模な反対運動に遭っています。また、皇居の堀に隣接する九段の元病院跡地にマンションを建設する計画でも、反対運動が起こりそうな気配です。どちらも、今回の国立の物件よりひとつかふたつ桁が違う超高級物件。こちらに集中するために、国立の物件は損切りしたのでしょう」
それにしたって、判断が遅すぎる……。