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「備品持ち逃げ」「やる気を出した翌日『辞めます』」社労士が明かす「退職代行」激ヤバトラブル」集
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.07.05 06:00 最終更新日:2024.07.05 06:00
Z世代で相次ぐ、退職代行業者を使っての“問題退職” 。実際に、退職代行を使われた企業の相談に乗る、社労士の石川弘子氏のもとには、多くのトラブルが寄せられている。その一部を紹介しよう。
<ケース1 /「明日は頑張ります!」朝令暮改退社>
「医療事務勤務の男性Aさんは、入社数カ月で退職代行で会社を辞めました。原因はわかりませんが、退職前日に、ある異変があったんです。些細な失敗があって、落ち込んでいたAさんを、課長クラスの30~40代の上司が食事に誘っていたんです。励まされたAさんは、その席では『明日からがんばります!』と意気込んでいたのですが……。代行業者から連絡があったのは、その翌日でした」(石川氏・以下同)
やる気を取り戻したと思ったら退社された、というケースは少なくないという。
「Aさんについては、少なくとも食事の席では辞めるほどの落ち込み具合には見えませんでした。このケース以外にも、『まさか退職するとは』というパターンがほとんどなんです。Aさんの件も、彼の退社後、同僚に連絡を取るようお願いしたものの、結局、それもかないませんでした」
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<ケース2 / 備品を持ち逃げ! 連絡先は“ブロック”>
「ゲーム開発会社関係に勤めていた男性のBさんは、まじめに仕事をこなしていましたが、入社して1年ほどで、誰にも相談せず、代行業者を使って退職してしまいました。困ったのは、パソコンと倉庫の鍵を持ち出してしまったことでした。会社では、情報漏えいの心配や、防犯上の理由から大騒ぎになったといいます。おそらく翌日も出勤するつもりだったのが、帰宅して突発的に退職を思い立ったのだと思います」
退職した人が実家暮らしであれば、こうした「持ち去り」についてのやり取りが可能なケースもあるが、Bさんはひとり暮らしで連絡がつかなかった。さらに、これまでの連絡先はブロックされてしまっていたというのだ。
「結局、返還はあきらめたとのことで、備品代等は、会社が泣き寝入りしていましたね。当然、訴訟で返却を求めることも可能ですが、金額と手間を考えて、その手段に至らない場合がほとんどです」
<ケース3 / 「配属ガチャ失敗!」辞令を拒否して退職>
「配属ガチャ」とは、会社の配属には「当たり・外れ」がある、という価値観を表わす言葉だ。
「広告代理店勤務の女性、Cさんは、もともと企画やマーケティングなど、いわゆる“花形部署”への配属を希望していました。当然、採用面接の際にも『希望どおりの配属にならない可能性はある』旨は伝えていたのですが……」
配属を伝えられたのは営業部門。Cさんは「希望と違うので、変えてほしい」と人事部に申し出たという。
「人事部は『異動の希望は随時、受けつけますが、いますぐ変えることは難しい』と対応しました。しかしCさんは受け入れられず、後日『休み明けに辞めます』と、退職代行業者から連絡が来たそうです。最近は『この会社ではやりたいことがかなわないなら、在籍している時間がもったいない』と、会社を去る方が多いようです」
<ケース4 / 有給消化に食い違い「労基に言いますよ?」>
有給消化について、企業側と退職した側との認識が食い違うこともある。映像関連会社に勤めていた女性、Dさんの事例もそのひとつだ。
「理由も告げず、退職代行で会社を去ったDさん。会社としては、『仕方ないか』という認識だったそうですが、驚いたのはその5日後。Dさんから手紙が届いたのです」
内容はこうだ。
「退職後に支払われた給与のうち、もらったものは有給5日分だけでした。正しくは10日なので、残りの分の給与を支払ってください。このままだと、労基署に申告します」
いきなり退職したうえに、給与の認識違いをもとに、前職場に対して“脅し”をかけてきたというのだ。
「おそらくDさんとしては、こうした交渉も退職代行業者に頼もうと思っていたのでしょうが、取り合ってくれなかったのだと思います。『こんなふうに“いちゃもん”をつけるのではなく、ちゃんと労基署に行ってくれたほうが交渉ができていいのに……』と会社の方はおっしゃっていましたね。ちなみに、計算したら5日分の有給で間違いありませんでした」
<ケース5 / 退職で店がパンク!予約キャンセルも>
職員が離職後、人員補填まで規模を縮小しての営業を強いられることもあるという。
「予約が1~2カ月先まで埋まっている人気マッサージ店勤務の女性、Eさんは、退職代行で辞めました。20代で中途入社して数カ月、お客さん相手の仕事でストレスは溜まっていたと思いますが、即、退職に至るほどだったのか、従業員も首をかしげていました」
ギリギリの人員で回していたため、Eさんの退職後は営業規模が縮小された。
「すでに入っている予約も、ひとり店員が足りないと回せなくなってしまうため、やむなく、いくつかキャンセルすることにしたそうです。法的に損害賠償をEさんに請求できるようなものでもなく、店は泣き寝入りするしかありません。
見方によっては、余剰人員が確保できていない店側の責任とも取れます。とはいえ、退職は基本的に計画的なことがらのはずです。このケースからは、退職代行によって被害を受けるのは会社だけではなく、われわれ消費者側にも、火の粉が降りかかってくる事態も十分、あり得ることがわかります」
あなたの部下は、大丈夫?