岸田文雄首相が8月14日に自民党総裁選への“不出馬”を表明して以降、「ポスト岸田」を目指す面々の動きが活発化している。
まず、石破茂元幹事長は14日、訪問中の台湾で記者団に対し、「総裁選に推してやろうという方が20人いれば、ぜひとも総裁選に出馬したい」と名乗りをあげた。
その後も連日、総裁候補とみられている議員たちの動向が、新聞、テレビ、インターネットニュースなどで報じられている。政治担当記者はこう話す。
「15日に齋藤健経済産業相が『あなたしかいない』などの連絡が多く寄せられたと明かし、出馬に意欲を見せました。
麻生派の河野太郎デジタル相は16日、麻生太郎副総裁と面会して立候補の意向を伝え、麻生氏は了承。旧茂木派の加藤勝信元官房長官も、16日に出演したBS番組で『具体的な動きをしていきたい』と出馬準備を明かし、旧岸田派の上川陽子外相も、岸田首相に『岸田総理に私の決意をお伝えしてまいりました』と意向を伝えたことを明かしています」
これまで、沈黙を貫いていた自民党議員たちが、雪崩を打ったように活発な動きを見せている。
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「具体的な発言はないものの、林芳正官房長官や高市早苗経済安保相も、立候補の意向を固めたことが報じられており、そこに以前から噂されている茂木敏充幹事長、野田聖子元総務相らの出馬も見込まれます。
そして、19日に記者会見を開き、一番乗りで正式に立候補を表明するのが、小林鷹之・前経済安保相です。
一方、菅義偉前首相が全面バックアップすると見られている注目の小泉進次郎前環境相は、現時点では出馬するかどうかの対応について、明言を避けています」(同前)
実際に「推薦人20人」を確保し、立候補できる議員がどれほどになるのかは不明だが、少なくともこれまでに10人以上が総裁候補として、名前があがり、メディアをにぎわせている。
ちなみに、これまでの総裁選の最多立候補者数は、2008年と2012年の5人だった。
こうした、総裁選関連の報道に対して、X上ではこんな意見も出始めている。
《オリンピックの後は自民党総裁選一色か。うんざり》
《連日報道される自民党総裁選はパリ五輪にかわる“ウォッシング”効果絶大。ことは着実に自民党ペースで進んでいる》
《オリンピックで裏金の話題が消えて、岸田総理の総裁選不出馬、魂胆はみえみえ》
2021年の東京オリンピック後も、閉会式の後に菅前首相が総裁選への不出馬を表明、という同様の流れで自民党総裁選がおこなわれた。自民党のベテラン秘書はこう言う。
「大きな声では言えないが“してやったり”ですね。政治ニュースに関しては、これから1カ月は自民党総裁選一色で、話題を独り占め状態にできます。
野党からは『不公平だ』という声があがるでしょうが、おそらく“次の首相”を決める選挙でもあるわけだから、メディアも報じないわけにはいかないでしょう。そして、これによって、自民党支持率はだいぶ持ち直すはずです。
岸田首相のもとで解散総選挙になれば、70議席減といわれましたが、新しい首相のもとで解散総選挙をやれば、誰がなろうとも20~30議席減で収まり、単独過半数を維持できるかもしれません」
2021年も、菅前首相の退陣表明前の8月10日に発表されたNHK世論調査では、自民党支持率は33.4%だったが、総裁選で岸田首相が選ばれた後の10月11日に発表された同調査では、自民党支持率が41.2%と大きな上昇を見せていた。
こうしたこともあり、9月23日に代表選を控えている立憲民主党からは、「このままではマズい。立憲の代表選が完全に埋没してしまいそうだし、総選挙にも悪影響が出そうだ」(立憲ベテラン秘書)と、あせりの色を隠せない声が聞こえている。
またも“思惑どおり”になってしまうのか――。
( SmartFLASH )