「38年間の政治生活の集大成で、最後の戦い」と語った男の言動に注目が集まる――。
8月24日、自民党の石破茂元幹事長は、地元の鳥取県八頭町で、9月の総裁選に立候補すると正式に表明した。5度めとなる総裁選挑戦を “最後の戦い” とし、「国民と誠実に向き合う政治としたい」と意気込みを述べた。
同会見で、とくに注目されたのは、総裁選後に実施される総選挙で、裏金議員を非公認とする可能性に言及したことだ。
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「石破氏は『裏金事件に厳しく臨む』と明言し、『国民の審判を受けるにふさわしい候補者か、党として責任を持つ』と述べました。これは、自分が総理総裁になったら、次の国政選挙では裏金事件の処分議員を公認しない可能性があるということ。
政治資金の不記載があった現職議員は計85人。そのうち過去5年間の不記載総額が500万円以上の議員らと安倍派幹部を含む計39人が処分されています。これらの議員が公認されないとしたら、総選挙の結果を大きく左右しかねません。
裏金事件では “正論” を述べて自民党の金権体質を批判し、『味方の後ろから鉄砲を撃つ』『裏切り者』と反感を買ってきた石破氏ですが、今回も安倍派の議員から一斉に反発の声があがりました。党内での反発はある程度見越したうえで、国民からの一定の支持を得ようとしたのでしょう」(政治部記者)
ところが、その翌日の25日。鳥取県倉吉市で記者団の取材に応じた石破氏は、24日の発言をあっさり “軌道修正” してしまう。
「裏金事件に関係した議員の選挙での公認について、改めて聞かれた石破氏は、『新体制になってどうするのか決める。(党総裁に)なってもいない者が予断を持って言うべきではない』とトーンダウンしたのです」(同前)
この “変節” ぶりに、Xには非難の声が多数あがった。
《国民欺いた裏金議員、それを無視出来ない根性無し…そもそも『もう済んだ事』にして、自分が次の選挙で当選する為だけに『都合良い人』を選ぼうとしている茶番劇だろ!》
《ほらね? 昨日威勢の良い事言っておきながら、次の日にはもう弱気。コイツも所詮こんなモノ。》
《石破はん、一度吐いたツバは飲み込めんよ》
石破氏の心境はいかばかりか。政治評論家・有馬晴海氏がこう推察する。
「石破さんが、裏金議員を公認しないと言ったのは、一か八かの賭けだったと思います。国民人気は高いが、党内人気のない石破さんは、国民の感覚に近い党員票で圧勝しなければならないが、同じく国民人気の高い小泉進次郎氏の出馬によって、思ったほど票が伸びない可能性がある。そこで、国民=党員に支持される発言をして賭けに出たわけです。
ところが、この発言は安倍派をはじめ党内から猛反発を食った。1回めの投票で決着がつかず、決選投票になったら、少しでも国会議員票を稼ぐため、反発を和らげる必要があって、トーンダウンした。それで “軌道修正” と報じられたわけです。
しかし、そもそも悪いのは裏金議員。もともと、裏金問題を厳しく追及して来た石破さんですから、総裁選のなかで改めて堂々と “真意” を訴えていけばいいと思います」
この軌道修正によってイメージダウンしたことは間違いない。石破氏は、有終の美を飾れるのか。
( SmartFLASH )