保険診療医師の多くが加盟する「全国保険医団体連合会(保団連)」は、政府が「総点検は終了した」と宣言した2024年5月以降に医療現場で発生した「マイナ保険証」のトラブル調査を、8月6日から8月31日にかけて実施。その中間報告を9月19日に発表した。
「1万242の医療機関から回答があり、69.7%にあたる7134の医療機関で、オンライン資格確認のトラブルや不具合などが発生していたことがわかりました。しかも保団連によれば、トラブルは2023年10月から10%増加したそうです。
利用者からは『情報流出』や『紛失したときの悪用被害』のほか『機械のトラブルが多いので切り替えるメリットがない』などの声が聞こえてきますが、政府の強引すぎる導入への反発もあります。そのためマイナ保険証の利用率は1割程度にとどまっています」(社会部記者)
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医療機関から保団連に寄せられたトラブルの多くは「カードリーダーの接続・認証エラー」「資格情報が無効になる」「負担割合の齟齬」などだが、いまだに「他人の情報が紐づけられていた」といったトラブルもある。さらにマイナ保険証で手続きができず、支払いが10割負担になり、後日精算となった患者もいるそうだ。
また高齢者では「暗証番号を忘れてしまい資格確認ができない」といった事例もあり、わざわざ紙の保険証で確認をするという“二度手間”をさせられる医療機関もあったそうだ。
こうしたなか、9月27日投開票の自民党総裁選でも、マイナ保険証が議論になっている。しかし「当事者」の見解はまちまちだ。
「岸田政権の中枢、林芳正官房長官は『不安のままではいけない。廃止時期の見直しも含めて検討』と政府方針とは異なる意見を述べると、マイナカードの所管大臣でもある河野太郎デジタル相は『林氏も閣内で政策を推し進めてきたひとり。発言の真意を確認しなければならない。政府として従来の方針に何ら変わりはない』と噛みつきました。
紙の保険証の廃止時期といえば、当時、厚生労働相だった加藤勝信元官房長官は『DX化に向けてスケジュールはしっかり守っていくべき』としています」(同前)
現在の紙の保険証は12月2日で新規発行が停止されるが、Xには《マイナ保険証は任意なんですから、紙保険証を使い続けて何が悪い?》《マイナ保険証、 良いところを探す方が難しい》《こんなものを強制しておいて「改革しています」アピール》など不満の声がポストされていた。
利用率およそ1割でこれだけのトラブル。もしマイナ保険証に完全移行したら医療現場は大混乱になることだろう。
( SmartFLASH )