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広域強盗事件で注目の「トクリュウ」“ルフィの子分”が獄中から本誌に寄せていた指示役の“正体”と“新手口”

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.10.25 14:15 最終更新日:2024.10.26 09:38

広域強盗事件で注目の「トクリュウ」“ルフィの子分”が獄中から本誌に寄せていた指示役の“正体”と“新手口”

強盗殺人の疑いで逮捕された宝田真月容疑者(写真・時事通信)

 

 2024年8月ごろから、首都圏を中心に相次いで14件もの強盗事件が発生している。当初は貴金属店や質店といった店舗が襲われるケースが多かったが、9月に入って一般住宅もターゲットになった。横浜市青葉区では被害者が死亡し、実行役のひとりとして宝田真月容疑者が強盗殺人の疑いで逮捕された。また、千葉県市川市では犯行後に被害者のひとりである女性が一時、連れ去られるなど、手口も凶悪化している。

 

「犯行は、SNSなどでつながった不特定の人間で構成される『匿名・流動型犯罪グループ』、いわゆる『トクリュウ』による連続強盗事件であるとされています、10月18日に警視庁と神奈川、埼玉、千葉の各県警は合同広域捜査本部を設置。警視庁の親家(しんか)和仁刑事部長は合同会議で、『日本の警察の総力をあげ、実態解明、首謀者らを一掃する』と捜査員に檄を飛ばしました。しかし、約300人体制で捜査をおこなった結果として、これまで逮捕に至ったのは実行役や運転手など30人。指示役の逮捕にはつながっていません」

 

 

 トクリュウの犯行といえば、2018年11月から2020年6月の間に、60億円を超えるとされる被害をもたらした“ルフィ事件”の記憶が新しい。首謀者はフィリピンを拠点にして特殊詐欺をおこない、同国の入管施設に収容された後は、スマートフォンで日本国内に指示を出し、連続強盗事件を起こしている。

 

「今回の犯行の構図も、すでにメンバーの大部分が逮捕されている“ルフィ事件”と同じとされています。“ルフィ”の場合はテレグラムを利用していましたが、今回は、秘匿性の高い通信アプリ『シグナル』を使って、実行役や運転役に指示役が計画を実行させる手口です。『シグナル』は米国で開発されたアプリで、一定時間が経つとメッセージが消去され、復元は困難とされていました。“ルフィ事件”では、警視庁の捜査支援分析センター(SSBC)が電子鑑識技術によってメッセージの復元に成功しました。今回も、同センターが押収した携帯電話の解析を進めています」(社会部記者)

 

 だが、今回の事件と“ルフィ事件”では、決定的な差がある。

 

「“ルフィ事件”では、強盗によって得たカネの流れを追跡するなかで、フィリピンの入管施設の入所者が指示役である、と捜査線上に浮上しました。すでに拘束中の容疑者であり、フィリピンの捜査当局の協力を得ることもできたので、証拠の確保などが順調に進みました。しかし、現在、暴れまわっているトクリュウは、カンボジアやミャンマーなどからの指示の形跡はあるものの、まだ特定までは至っていないのです」

 

 強盗事件で得た貴金属の転売に関連し、トクリュウとの接点が認められる指定暴力団を取り締まる組織犯罪対策部門の捜査員や、振込詐欺などの特殊詐欺を担当する捜査二課の捜査員も合同本部に組み入れられている。しかし、幅広い捜査情報を集めれば、それだけ情報の共有や精査に時間が必要になる。首謀者や指示役には、現時点でもなかなかたどり着けていないのが現状だ。

 

 指示役の“正体”について、いくつかのヒントはある。じつは本誌は“ルフィ事件”に関連し、ルフィの元で特殊詐欺の掛け子をおこない刑務所で日々を過ごす「モリ」氏(仮名・30代)から手記を受け取っていた。モリ氏は、手記のなかで“ルフィ”以外の強盗団の存在を示唆している。

 

《ルフィら以外にも、指示役が海外にいるのだ。フィリピン、カンボジア、タイあたりでは、警察や役所への賄賂がきき、半グレ集団には都合のいい国である。潜伏先としては良好だし、日本の警察は介入できないので、やりたい放題に近い。何年もパクられずに、犯罪行為を続けている集団はじつに多い。

 

 KTVやジャパニーズレストラン、ショッピングモールでは頻繁に同業と遭遇する。なぜ同業とわかるかというと、ズバリ、見た目だ。堅気のフィリピンにいる日本人の男は、90%以上が年配者だ。一方、同業は若いやつが圧倒的に多く、タトゥーなど入れていれば、ほぼ確定と言っていい。

 

 こういう奴らが、闇バイトをあっせんするメンバーで、まだまだ海外に生息していて、そういう世界に引き込まれる危険性が転がっているのだ》(モリ氏の手記より)

 

 また“ルフィ事件”以降、強盗に狙われる家も変化している。

 

「いわゆる“アポ電強盗”と呼ばれる手法は有名です。金融機関の職員を名乗り、あらかじめ嘘の電話をかけるなどして資産状況などを聞き出し、ターゲットを選ぶものです。それが昨今、多くなっているのが、宅配便を名乗る虚偽メールです。宛先が不明であるなどの理由をつけて、名前や年齢、在宅時間などを返信させる手口です。とくに高齢者はだまされやすく、狙われやすいです。

 

 強盗の金額は近年“デフレ化”しています。年金支給日におろした数十万円など、リスクに見合わない金額でも強盗をおこなう若者が増えているのです。これらもすべて、裏で操っている首謀者たちの手のひらの上でのことなのでしょうが……」(前出・社会部記者)

 

 一刻も早い解決を祈る。

( SmartFLASH )

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