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「警察も正体を追えていない」連続強盗事件、「Signal」解析による首謀者追跡は絶望的…識者が指摘する「別ルート」とは

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.10.26 10:00 最終更新日:2024.10.26 10:00

「警察も正体を追えていない」連続強盗事件、「Signal」解析による首謀者追跡は絶望的…識者が指摘する「別ルート」とは

横浜市の強盗殺人の容疑で逮捕された宝田真月容疑者とメッセージアプリ「Signal」の「App Store」のページ(写真・時事通信)

 

 8月から首都圏を中心に、相次いで十数件もの強盗事件が発生している。

 

 10月19日、神奈川県警は16日朝に横浜市の住宅から、手足を縛られた住人男性の遺体が見つかった強盗殺人事件で、宝田真月(まづき)容疑者を強盗殺人容疑で逮捕した。

 

「関連があると見られている一連の事件では、30人以上が逮捕され、多くの容疑者が20代です。ほとんどが報酬目当てで、SNSから応募した結果、『闇バイト』だったというもので、容疑者が集められています。

 

 その“バイト”の指示として、容疑者たちは匿名性の高いメッセージアプリ『Signal(シグナル)』をインストールしています。それを通じて、指示役から犯行場所などを指定されているようです」(社会部記者)

 

 

 多くの容疑者が逮捕されたが、それらは“実行役”。さらに、互いに面識がないことから、彼らの上に“首謀者”がいる「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」が関与していると見られている。

 

 ただ、「Signal」を用いて指示を出している“指示役”などはまだ逮捕されていない。そして、犯人逮捕は難航の気配を見せているという。

 

 警視庁担当記者がこう明かす。

 

「まだ警察も指示役の正体をぜんぜん追えていないようです。『Signal』の米国本社に解析依頼を出して、その了承を得たうえで解析を進めなければならず、かなり時間がかかる模様です」

 

 そもそも「Signal」とはどういったアプリなのか。元刑事でサイバー犯罪に詳しい「一般社団法人 刑事事象解析研究所」代表理事の森雅人氏がこう話す。

 

「Signalのメッセージや通話内容は、第三者がメッセージ内容を把握できないように、送信者と受信者との間でデータを暗号化しています。そのため、米国本社が日本警察の解析依頼を了承したとしても、暗号化されたデータしか見れず、日本語のメッセージ内容がわかるかどうかは疑問です」

 

 ただ、過去にもSignalを利用していた「トクリュウ」を追跡し、首謀者を逮捕したケースはあった。

 

「10月21日に警視庁サイバー特別捜査部と埼玉県警など9府県の合同捜査本部が、特殊詐欺グループの首謀者と見られる容疑者を逮捕し、このことも今回の強盗事件の首謀者を追跡する手がかりになるかもしれません。

 

 特殊詐欺グループもSignalを利用し、犯行のやり取りをしていましたが、犯人の追跡を可能にしたのはマネーロンダリングに用いていた仮想通貨でした。Signalでの追跡の線ではなく、多少は簡単な仮想通貨から追跡し、犯人にたどり着いた形です。

 

 今回の強盗事件の現金の行方は警察から発表されていません。しかし、間違いなく今回の強盗事件のお金も仮想通貨などで、マネーロンダリングされているはず。警察がその線から追跡し、犯人逮捕にこぎつける可能性があると思います」(森氏)

 

 スマホの向こう側で、ほくそ笑む犯人は今、何を思っているのかーー。

( SmartFLASH )

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