11月5日、石破茂首相は、国土交通大臣に公明党の中野洋昌氏を起用する方向で調整に入ったと、各メディアが報じた。公明党代表に就任する斉藤鉄夫現国交大臣の後任として白羽の矢が立ったかたちだが――この人事が、SNSで思わぬ反響を呼んでいる。
「国交大臣のポストは、2012年から10年以上も公明党が独占してきた “指定席” なんです。仮に中野氏が就任すれば、5人連続で公明議員が担当することになります。
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衆院選で惨敗した石破首相にとって、同じく議席を減らしたとはいえ、連立相手の公明党は無視できず、今回も要求を呑んだ形です」(政治担当記者)
中野氏は、元国交省職員のため、適任との意見もあるのだが、SNSでは国交大臣のポストが繰り返し公明党に “贈呈” されることに、不信と怒りの声が多数あがっている。Xでは、
《相変わらず国交相は公明党…。伝統芸かよ!》
《国土交通大臣=公明党用大臣ポスト この慣習的登用、いい加減にやめてくれないかな。もはや見てて興醒めの領域》
《不正や利権の温床になる大臣ポストを何故、長年に渡り公明党にさせるのか!何も国民の為になってない。自民党も、いいかげんにしろ!》
など批判の嵐だ。タレントのフィフィも《公明党の指定席…》(11月5日)と呆れ、《巨大利権官庁の国交相が「公明党の指定席」じゃダメなんじゃないかな》(10月30日)と問題視している。
それにしても、なぜ公明党は国交大臣のポストに固執するのか。その理由について、前出の政治担当記者がこう解説する。
「国交省は、航空、港湾、鉄道、道路といった交通インフラを所管する、日本有数の巨大省庁です。それだけでなく、不動産や住宅を担当する部局も抱え、2024年4月には、水道の整備も厚労省から移管されました。観光庁、気象庁、海上保安庁も管轄下にあります。
所管する業務が広いため、予算も膨大です。8月27日に出された2025年度予算では、前年度予算の1.2倍となるおよそ7兆円が概算要求されました。このうち公共事業関連は、6.2兆円にのぼります。能登半島地震など天災が多発したことを受け、『国土強靱化』に大きな予算が割かれました。
こうした公共事業を差配するため、業界団体との強い関係が築かれています。業界団体は選挙のときに大きな支援団体となりますからね。
そもそも、国交省は日本全国に数多くの出先機関や出張所を持っています。地方では国会議員に対してさまざまな陳情が寄せられますが、ほとんどが『道路が欲しい』『駅が欲しい』といったものです。
もちろん、災害が起きれば『復興を進めてほしい』と要望されますが、こうした陳情に公明党の人間が対応することで、有力な票田になるという計算があるのでしょう」
2023年7月、公明党代表だった山口那津男氏は、会見でこう語っている。
「国土交通大臣の役割というのはやはり非常に国民生活に密着し、また経済にも大きな影響を持つ重要な役割だと思っている。そのポストは公明党にとってこれからも重要だと考えている」
支持母体である創価学会の高齢化で集票力が低下するなか、国交大臣のポストは高い集票効果が期待できるわけだ。しかし、こうした狙いは、有権者から見透かされている。Xでは、
《先日の選挙で、国民から『NO』と返事を受けたので公明党は潰れてほしい。石破政権も潰れて、自公連立の解消を早くして》
と、自民党と公明党が連立を解消すべきとの声も多い。
「かつて、自民党についていくしかない『下駄の雪』と揶揄された公明党ですが、いまやその自民党も単独で過半数を取れないほど、党勢が弱くなってきました。これだけ国民からの不信が集まる以上、石破首相も “旧態依然の人事” ばかりしている余裕はないはずですが……」(同)
岸田内閣時代も、自民党内で「国交相ポストを取り返せ」という声が強くなっていた。はたして、石破首相の判断は――。
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