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「絶対に批判されるのに」石破総理、実績ゼロの今井絵理子氏、生稲晃子氏の政務官起用の裏で画策する“目くらまし戦法”

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.11.15 18:50 最終更新日:2024.11.15 18:50

「絶対に批判されるのに」石破総理、実績ゼロの今井絵理子氏、生稲晃子氏の政務官起用の裏で画策する“目くらまし戦法”

政務官に任命された生稲晃子参院議員(左)と今井絵理子参院議員(写真・長谷川 新)

 

 他に選択肢はなかったのか――。

 

 11月13日午後、石破茂首相は、第2次石破内閣の副大臣26人と政務官28人の人事を正式に決定した。なかでも注目を集めたのは、2人の“タレント議員”の登用だった。

 

「外務政務官には『おニャン子クラブ』元メンバーの生稲晃子参院議員が、内閣府兼復興政務官には『SPEED』の元メンバー・今井絵理子参院議員が起用されました。今井氏は第2次安倍内閣でも内閣府政務官を務め、今回が2度目の起用となります。知名度こそ抜群でも、これといった実績のない2人の起用に、自民党内からも驚きと批判の声が噴出しています」(政治担当記者)

 

 

 そもそも2人には、政治家としての“資質”を疑わせる過去がある。

 

「生稲氏は、2022年7月の参院選に出馬した際、NHKの候補者アンケートで『無回答』を連発して批判を浴びました。また、『不勉強』を理由に各局の選挙特番への出演を拒否。池上彰氏から『伝えるということが政治家としての責務・責任ではないのか』と苦言を呈されています。参院選では、当時自民党政調会長だった萩生田光一氏とともに八王子市内の旧統一教会関連施設を訪問し、支援を要請していたことも明らかになりました。これも無知ゆえの行動だったといえるでしょう」(同前)

 

 今井氏にも問題を起こした過去がある。

 

「今井氏には“エッフェル問題”があります。2023年7月、自民党女性局のメンバー38名でフランス研修に行った際、観光旅行のような写真をSNSにアップして、大炎上。猛批判を浴びると、追って活動報告すると反論しましたが、その後、活動報告はありません。最近では、10月9日に国会内で撮った自身の写真をXにアップしたことで、『アイドル気取り』と批判されています」(同前)

 

 こうした実績ゼロの2人が政務官という政務三役の一つに就くことに対し、ネットを中心に「茶番」「この人何をした?」「国民を舐めるな」などという厳しい声が上がっている。これは予想された事態だが、なぜ石破首相はこうした人事に踏み切ったのか。その背景には“アイドルの手でも借りたい”という今の自民党のお家事情があるという。政治評論家の有馬晴海氏がいう。

 

「一言で言えば人材不足ですよ。今回の衆院選で自民党は64議席減らしました。さらに、今回の副大臣・政務官人事では政治資金収支報告書に不記載があった裏金議員は起用しませんでした。これも合わせると、80人ぐらいの候補がいなくなったわけです。

 

 加えて、女性議員を登用したいという石破首相の意向もあったと考えられます。政務官は当選1回、2回の議員が就く若手向けのポストですから、そもそも議員の数が減ったうえに、女性で若手となると、起用する候補は限られてくるわけです。実績のない生稲さんや今井さんでも、知名度は抜群ですから、地方回りなどで観衆を集められると、“客寄せパンダ”としての効果を歓迎する向きも党内にはあります。もちろん、党内でもアイドルを起用したと批判されるのを恐れる声もありますが、いまの自民党には、背に腹は代えられないという事情があるのです」

 

 そもそも、今回の人事はどう決まったのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「派閥のバランス」が背景にあるという。

 

「副大臣・政務官の人事の任命権者は総理大臣ですが、実際にまとめるのは、例えばかつて菅義偉官房長官がやったように官房長官などがやるケースがあります。官房長官がバランスを取りながら、各派閥が推薦してきた人物を受け入れる形で起用してきたんです。今回も、林芳正官房長官と森山裕幹事長が相談してリストを決めた可能性があると思いますが、そこから上がってきた人事案を見て、石破首相が決済したと。

 

 今回の今井氏、生稲氏の起用も、旧派閥が推薦した可能性があります。今井氏は麻生派、生稲氏は旧安倍派ですからね。生稲氏は萩生田氏と近い関係にありますから、萩生田氏の意向が反映されている可能性もあります。そうした旧派閥の意向を石破首相も無視できません。なぜなら、政権基盤の弱い石破首相にとって、旧派閥の議員が反主流派になっては困りますからね。だから、批判されるとわかっていても、石破首相は元アイドルの起用を認めざるを得なかったとも言えるでしょう」

 

 元朝日新聞政治部デスクで政治ジャーナリストの鮫島浩氏は、こんな“穿った見方”をする。

 

「この人事がどういう効果を生むのかということです。『元芸能人を起用して叩かれるからマイナスなんじゃないか』という意見もあるでしょうが、それは織り込み済みだったはずです。むしろ、世の中の関心が、彼女たちに向いてくれたほうが、“本筋”である裏金問題などへの批判から目を逸らさせる効果がある。

 

 じつは、これは自民党がよくやる手なんです。最近では、2023年3月13日の参院予算委員会で、高市早苗氏が放送法に介入したとされる問題で追及されたことがあります。高市氏の問題に目が向くことで、その結果、岸田文雄首相の支持率低下が止まったんです。今回、石破首相が実際に意図したかどうかはともかく、誰か老獪な政治家、たとえば森山幹事長あたりが、そういうシナリオを考えても不思議ではない。元アイドル叩きは自民党のマスコミ、世論対策かもしれませんよ」

 

 いわば“目くらまし”戦法――。アイドルに注目するあまり、裏金問題という本筋を見誤ってはらない。

( SmartFLASH )

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