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「街に出てきた時点で興奮状態」秋田市で熊がスーパー立てこもり…「市街地出没熊」が特別危険な理由を識者が語る

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記事投稿日:2024.12.01 15:45 最終更新日:2024.12.01 15:46
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
「街に出てきた時点で興奮状態」秋田市で熊がスーパー立てこもり…「市街地出没熊」が特別危険な理由を識者が語る

画像はイメージです

 

 11月30日、秋田市のスーパー「いとく土崎みなと店」に入り込んだクマは、12月1日正午になっても店内に潜伏を続けている。報道によれば、ドローンで売り場内を確認したもののは見つからなかったとのことだ。熊はバックヤードにいるとみられており、売り場入り口に設置した2つの罠をバックヤード側に移動させることで捕獲を試みているという。

 

 今回のクマは、体長約1m。店内侵入前に47歳の男性従業員を襲い、頭や顔にケガを負わせている。

 

 

「スーパーの隣りにある秋田県警秋田臨港署の発表では、男性従業員は売り場とバックヤードをつなぐ出入り口の近くで襲われたようです。血を流してうずくまり『痛い』と叫んでいるところを別の従業員が発見。その3m先にクマがいるという、衝撃的な状況でした。けがをしていた男性は、命に別状はないということです」(全国紙社会部記者)

 

 現場は秋田駅から北西約7キロの住宅街。海が近く、山は遠い。近隣に大きな森もなく、地域住民はクマが出るとは想像もしていなかった様子だ。

 

 Xでも地元住民からの情報が多く書き込まれた。

 

《土地勘のない方に説明すると、このスーパーは農村部や山を切り開いた新興住宅地ではなく、ベイエリアの市街地です…店員さんお大事にどうぞ…》

 

《たまに行くスーパーにクマ立てこもり中…秋田港と国道7号線に挟まれたそばに山がない住宅街にある。わが家から車で10分位》

 

 市は店舗の出入り口2ヶ所に、クマの好物とされる米ぬかやハチミツなどを入れた箱わなを設置。しかし店舗内の肉売り場が荒らされて肉がなくなっているなど、もっと美味いものがある店内での“バイキング”状態から出てくる気配はない。

 

 こうした、市街地に出没する熊は、山にいる熊よりもさらに危険だという。本誌は1年前、日本ツキノワグマ研究所所長の米田一彦氏を取材していた。米田所長は、こう語っていた。

 

「街に出没するクマというのは、そもそも興奮状態にあることが多いのです。クマは共食いする習性があります。山にいれば、自分を食らうクマから身を隠せるのですが、街だと体をさらさざるを得ない。“彼ら”にとっては、街中で動くものすべてが、自分を襲うクマに見えるのでしょう。見つかった時点で動けば、すぐに襲われます。クマを目撃したら、まずは身を隠すこと。見つかってしまったら、絶対に動かないことです」

 

 今回は男性従業員が襲われている。市街地に出没したクマは、やはり“猛獣”なのだ。

 

「最近はクマの頭数が増えてきたこともあり、とくに夏場から秋にかけて、山中でほかのクマにエサの豊かな土地を奪われるなどして街に出てくるケースが見受けられます。また、山間部に定住してきたクマも、現在、深刻なエサ不足で街に降りてこざるを得ない状況です。昨今は、人手不足や高齢化で猟友会の力が全国的に弱まっており、こうして街に出てきたクマたちを駆除したり山に戻すことが難しくなってきています」

 

 生息域を追われ、街に出てくるクマたち。爆発的に増える被害に、法整備の変更なども必要になってくるかもしれない。

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