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【独自】尹錫悦大統領、戒厳令に失敗も根強い支持者…韓国で広まる「不正選挙」疑惑、当選した「ニセ議員リスト」も流出

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記事投稿日:2024.12.13 18:15 最終更新日:2024.12.13 18:18
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【独自】尹錫悦大統領、戒厳令に失敗も根強い支持者…韓国で広まる「不正選挙」疑惑、当選した「ニセ議員リスト」も流出

尹錫悦大統領(写真・時事通信)

 

 韓国尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が12月3日に宣布した非常戒厳をめぐり、ソウル地裁は10日深夜、戒厳令を進言したとされる金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相への内乱容疑などの逮捕状請求を認めた。

 

 検察は8日から金前国防相の身柄を拘束しており、地裁の判断を受け、ただちに逮捕。また、戒厳令の当日、議員の国会への立ち入りを妨害した容疑で、韓国とソウル市の警察トップも逮捕された。すでに、戒厳令を受けて設置された戒厳軍に関わった軍幹部の身柄も拘束されており、検察による事情聴取も始まっている。

 

「検察は尹大統領の戒厳令を、憲法秩序の破壊を目的とした内乱罪であるとし、今回、逮捕した金前国防長官を内乱重要任務従事者の容疑があるとしました。金前長官は、尹大統領と戒厳令をめぐり事前に協議していたことをすでに認めているようです。

 

 突入作戦を指揮した郭種根(クァク・ジョングン)特殊戦司令官が、国会で『尹大統領から、議員を国会からつまみ出せと電話で指示された』と証言しており、今後、尹大統領が首謀者として、軍と警察幹部は重要任務従事者として捜査を受ける予定です。

 

 内乱罪は、在職中の大統領が訴追を免れる不逮捕特権の対象になりません。金前国防長官の逮捕直後から、大統領室の強制捜査も始まりました」(現地紙記者)

 

 

 12月7日の国会では、野党勢力から提出された弾劾決議が与党「国民の力」の欠席により、採決されず廃案になった。しかし、11日に再び野党から弾劾決議が提出されており、14日に採決される見込みだ。非常戒厳の責任を追及する世論に押され、次は与党から多数の造反議員が出ると予想されている。

 

「弾劾決議をボイコットした『国民の力』に対し、市民から大きな反発が出ています。こうした世論を受けてか、韓悳洙(ハン・ドクス)首相と韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、『(退陣前でも)大統領は国政に関与しない』という異例の共同宣言を出したものの、法的拘束力がないことから、こちらもさらに批判が集まっている状況です。

 

 結局、来年の4月か5月に大統領選をすることを公表せざるを得なくなりました。

 

 そもそも『国民の力』は保守系5党が合流して結成された政党で、内部は一枚岩ではありません。党そのものが分裂する気配も出ています」(同)

 

 非常戒厳の宣布以降、すでに死に体にみえる尹大統領だが、与党が “切り捨て” に躊躇するのには一定の理由がある。それは、熱烈な支持者の存在だ。

 

「国会のある汝矣(ヨイド)島では、毎夜、尹大統領の辞任を求める抗議集会が1000人単位の規模でおこなわれています。一方、市内の光化門広場には数百人の “大統領支持派” の市民が集まっているんです。彼らが一様に口にするのは『不正選挙の究明』です。

 

 不正選挙疑惑は、昨年からSNSで広がっているもので、中央選挙管理委員会のサーバーに何者かが侵入して、選挙結果の改ざんをおこなった、というものです。ここ2回の総選挙で野党が大勝していることから、与党支持者を中心に噂が広まっています。

 

 実際、今回の戒厳令では、戒厳軍が国会よりも先に、ソウル近郊の果川市内にある中央選管庁舎を占拠したことが伝えられています。一部では、実際に戒厳軍が不正選挙の証拠を押収したという怪情報も流れています。中央選管委員長は、戒厳令の解除後に『建物以外の被害はない』と発表していますが……」(同)

 

 とはいえ、戒厳軍が国の主要施設とは言いがたい中央選管庁舎にわざわざ投入されたことへの疑問は残る。尹大統領はいったい何を目論んでいたのか。現地のメディア関係者はこう語る。

 

「たしかに、国家情報院(NIS)は、2023年7月から9月の合同セキュリティ検査により、中央選管のサーバーに侵入された証拠を発見しており、その証拠の存在を尹大統領に伝えています。しかし、弱体化したNISではそれ以上の捜査ができず、検察に移管されました。

 

 検察が中央選管を強制捜査するには、裁判所に捜索・押収の令状を発付してもらう必要があります。しかし、中央選管と地方選管は、裁判所の裁判官が委員に名前を連ねているので、令状が発付されることはまずないのです。実際、これまで訴訟提起された不正選挙はほぼすべて、裁判所に認められていません。

 

 こうした状況下、裁判所などもグルになって大規模な不正選挙がおこなわれているという疑惑が取り沙汰されるようになったのです。冷静に考えれば、サーバーに侵入した形跡がある、ということしか現時点ではわからないはずなのですが……」(メディア関係者)

 

 本誌は、韓国内の関係者の間で出回っている「不正選挙で当選したニセ国会議員リスト」なる名簿も入手した。野党議員ばかり40名以上の名前と選挙区が列記されている。もちろん、不正選挙の具体的な手口や証拠を示すものではない。

 

「韓国でも、SNSを中心にニセ情報が氾濫しているんですよ。ネットにこそ真実があると信じてやまない人が、若年世代と老齢世代で急速に増えており、『尹大統領は不正選挙を暴こうとした正義の人だ』と固く信じているのです。

 

 戒厳軍が中央選管庁舎を占拠したのは、拘束した議員の移送先として利用する予定だったという説が有力ですが、なぜ、数多ある建物のなかで、中央選管庁舎が選ばれたのかはハッキリしません。

 

 もしかすると、尹大統領自身が不正選挙疑惑を信じており、戒厳令を敷いて強制的に捜査することで “一発逆転できる” という妄想に取りつかれていたのかもしれません。だとすれば、非常に残念ですね」(同)

 

 今後の捜査で、すべてが明らかになるといいのだが……。

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