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石破首相、年末年始「解散総選挙も視野」強気発言で見えてきた「自民党議員を脅しにかける」の“粘り腰”

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2025.01.04 13:40 最終更新日:2025.01.04 16:36

石破首相、年末年始「解散総選挙も視野」強気発言で見えてきた「自民党議員を脅しにかける」の“粘り腰”

自民党本部で会見した石破首相(写真・JMPA)

 

 年末年始にかけて、石破茂首相の発言に注目が集まっている。

 

 まず2024年12月27日、東京都内で開かれた講演会で、石破首相は2025年1月24日に召集される通常国会において、2025年度予算案などの重要法案が否決された場合や、内閣不信任決議案が可決されたりした場合には、衆議院の解散総選挙の可能性もあることをうかがわせた。

 

 そして、1月1日に放送された(収録は2024年12月24日)文化放送のラジオ番組では、与野党の主要政党による「大連立」政権の可能性について「選択肢としてはある」などと語ったのだ。

 

 自民党関係者はこう話す。

 

「2024年10月に衆院選をやったばかり。2025年度予算は3月末までに成立させなければならないが、それが野党の反対でできないから解散するというのは、あまりにも無謀すぎて、実現度はほぼゼロに近い。解散ではなく、内閣総辞職するしかないだろう。半年後に衆院選なんて、600億円もかかる費用に対して『無駄遣いだ』と国民からそっぽを向かれ、自民党は少数与党から、完全に野党へ転落してしまう可能性が大きい。

 

 自公で過半数に足りないため、自民党と公明党だけで予算を含む重要政策が決められないことにイラ立ち、党内では『通常国会で解散すべき』と息巻く声があるみたいだが、それこそ自業自得になってしまうよ。石破さんも、本気で解散する気は毛頭ないと思う」

 

 

 とはいうものの、2025年にまたも解散総選挙というシナリオは、以前から存在していたようなのだ。政治部デスクが話す。

 

「石破政権が誕生した2024年秋の段階では、2025年春に当年度予算案を通した後に“石破おろし”が始まり、石破首相を退陣させて、国会議員だけで総裁選を実施、新総裁で解散して、7月に衆参同日選挙というシナリオを唱える勢力が、高市早苗前経済安全保障相や小林鷹之元経済安全保障相の周囲を中心に、けっこういました。

 

 しかし、現段階ではこうした声はほとんど聞かれなくなりました。石破首相は2024年末の補正予算案の審議で、国民民主党の『103万円の壁』と日本維新の会の『教育費無償化』をうまく両天秤にかけて、乗り切ることができました。

 

 この流れは、今度の2025年度予算案の論戦でも通用するのでないか、とみる向きが自民党内で拡大しているのです。野党と妥協点を探りながら予算成立までを石破首相に託そうという雰囲気になっています」

 

 少数与党である自民党の政権運営は、誰しもが困難を極めると予想していたが、「石破首相はなんとか乗り切った」という評価が党内ではなされているようなのだ。

 

 だが、本番は1月24日から始まる通常国会。2025年度予算をどのように成立させるかで、石破首相の本当の手腕が問われることになる。そんななかで相次いだ“解散発言”の狙いについて、前出のデスクはこう話す。

 

「石破首相が“石破おろし”や内閣不信任案が可決されたときには『自分の手で衆院を解散し、国民に信を問う』と繰り返し唱えていることが、自民党の議員らには脅しに聞こえているようなんです。そのため、党内の“反石破勢力”も含めて、かなり穏やかになっています。

 

 2025年も、自民党の支持率が抜本的に上向く可能性はほとんどないとみられており、石破首相の手で解散となれば、2024年の選挙より厳しい戦いを強いられる議員が多いと予想されます。

 

 ですから、いまの流れとしては、1月20日に就任式を控える米国のトランプ新大統領との間で決定的な“しくじり”などのハプニングがない限り、2025年7月の参院選までは石破首相のままでいくのでは、との見方が多いです」

 

 政権発足当初から「短命政権になる」(自民党関係者)というのが大方の予想だった石破政権。ところが、ここまでは粘り強さを見せているということなのか。

 

「結局“石破おろし”の動きはほとんどありませんし、発言が注目された『大連立』については、石破首相が党内の反発の動きを牽制するために発している“脅し文句”としての色合いが強いようです。いざとなれば、日本維新の会の前原誠司共同代表や、立憲民主党の野田佳彦代表らと一大勢力を作るという選択肢もあるのだ、と。

 

 高市氏は『どんなことがあっても自民を離党することはできない』と言っているので、この石破首相の脅しがうまくきいているのだと思います。

 

 ただ、先ほど言ったように、これらの流れは内閣支持率次第です。予算案の処理が終わった4月ごろ、支持率が大きく落ちているようならば、さまざまな不穏な動きが出てくる可能性はゼロではありません。そのとき、自民党が割れることも含めて、混沌とした政局になる可能性もあると思います」(前出・政治部デスク)

 

 党内への“圧”はうまくきかせていると思える石破首相。それが、国民に伝わっていくのか――。

( SmartFLASH )

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