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NEC社員が「就活女子大生」に性的暴行、過去には大林組・住友商事でも…専門家が指摘する “企業の責任” とは

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2025.01.15 20:41 最終更新日:2025.01.15 20:41

NEC社員が「就活女子大生」に性的暴行、過去には大林組・住友商事でも…専門家が指摘する “企業の責任” とは

NEC本社(写真・時事通信)

 

 社内のインターンシップに参加していた都内の女子大生に性的暴行を加えたとして、警視庁は1月8日、会社員の岡田一輝容疑者を不同意性交の疑いで逮捕した。1月14日には、大手電機メーカー・NECが、岡田容疑者が同社社員であると認め、謝罪している。

 

「報道によれば、女子大生は2024年9月まで、NECの職場実習型インターンシップに参加していました。岡田容疑者はその期間に連絡先を交換し、インターンシップ終了後も連絡をとり続けたようです。

 

 

 昨年11月、『就職の相談に乗る』という名目で呼び出し、深夜まで居酒屋などに付き合わせたあと、女子大生の住むマンションに押しかけて性的暴行を働いたとみられます。

 

 女子大生は『急に襲われた』『就職希望先の社員なので断りづらかった』と警察に事情を話していますが、岡田容疑者は、容疑について否認しています」(事件担当記者)

 

 職場実習型インターンシップは、新卒採用の選考期間が以前より短くなった2023年から、大手企業を中心に本格化した制度。NECでも、2024年だけで1000人以上の学生が同制度に参加したという。

 

「自治体や人材会社が仲介するケースもありますが、大手企業の多くは直接募集をしています。実施期間が就職活動の解禁前になるため、学生の囲い込みとの批判もありますが、企業側と学生双方がミスマッチなく理解を深めあえるという利点もあり、大学生の約8割がこの制度に参加経験があるとの調査もあります」(同)

 

 しかし、“就活生” に対する企業担当者の性加害は、毎年のように報じられ、後を絶たない。2019年には、大手ゼネコン・大林組の男性社員が、仲介サービスを利用し、就活中の女子学生にわいせつ行為をしたとして逮捕されている(後に不起訴)。さらに同年には、当時住友商事に所属していた社員による性的暴行事件が報じられた。

 

 なぜ、このようなことが起こるのか。「ブラック企業」という言葉の生みの親で、人材コンサルタントの新田龍氏は、「いくつかの理由が考えられます」として、こう語った。

 

「まず、大手の有名企業であるほど採用倍率は高く、相対的に就活生は立場が弱い。この力関係は、不適切なコミュニケーションに対して “NO” と言いにくい状態です。

 

 そうでなくても、『リクルーター』や『メンター』として、個別にやり取りをおこなうなど、互いの親密性が高い状態です。企業側は、まず担当社員が不適切な行為をおこなう可能性が高い状態にあることを再認識すべきです」

 

 具体的には、採用プロセスにおける面談や飲食をともなう懇親会などで、「1対1」の状況になる場合の配慮だ。

 

「担当社員は、通常業務のほかに就活生の “相手” もするわけです。つまり、長時間労働になりやすい。また、昨今の人手不足の状況により、新卒社員の待遇が大幅によくなっているのに比べ、中堅社員の待遇はあまり変わっていません。

 

 社内で苦労している人間が優遇されている人間の世話役をするわけですから、これは大きなストレス要因になりえます。判断力や倫理観を鈍らせる可能性が否定できません」

 

 また、セクハラ性暴力に対する認識のギャップもあるという。

 

「ハラスメント全般への認識が、一般社会と乖離している企業は、まだまだあります。こうした企業は、社内・社外に対して、ハラスメント防止に関する教育ができておらず、防止の仕組みさえ存在していないこともあります。違反者への懲戒処分が緩く、抑止力として機能していないことも、これに含まれます」

 

 さらに、新田氏は「個人的な見解」と前置きしつつ、「『非モテ社員』の勘違い。これがいちばん理由として大きい」と言う。

 

「採用担当者となれば、就活生が熱心に話してくれるし、自分のアドバイスに素直に従ってくれます。いくらつまらない話でも、相槌を打ち、うなずき、前向きな反応を返してくれます。

 

 異性への免疫が少ない担当者は、これを自分への “好意” と置き換えてしまいがちです。勘違いして、関係性を深めようとするあまり、間違った行為をしてしまう例はよく聞きますね」

 

 もちろん、勘違いだからといって、おぞましい性暴力が許されるはずもない。とはいえ、新田氏が解説するように、企業側にもこうした不祥事を誘発する要因があるのだ。

 

「多くの場合、大学と当事者、企業との間で示談が成立してしまうため、こうした事例が発覚するのはごくわずかです。逆にいえば、報じられていない事件が数多くあり、多くの就活生が被害にあっている可能性があります。

 

 とはいえ、ハラスメントをきっかけに、女子学生にOBの紹介を一部規制したことで、女子学生の就活が思うように進まなくなったケースも出ています。企業側、大学側ともに、就活生が被害にあわないための仕組みづくりを徹底すべきでしょう」(社会部記者)

 

 これから社会に出る “弱者” を狙った、あまりに卑劣な行為だ。

( SmartFLASH )

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