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女性を全国の風俗店へ…続々と摘発される「スカウトグループ」広告代理店に転身で検挙逃れる“イタチごっこ”

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記事投稿日:2025.02.04 18:25 最終更新日:2025.02.04 18:25
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
女性を全国の風俗店へ…続々と摘発される「スカウトグループ」広告代理店に転身で検挙逃れる“イタチごっこ”

東京都品川区内で、ソープランドを家宅捜索する警視庁の捜査員(写真・時事通信)

 

「とにかく警察に目をつけられるのが怖い。どこも“つぶされる”のではないかと戦々恐々としていますよ。出稼ぎの女性はソープ内に寝泊まりさせる、いわゆる“店泊”させることが多かったんですが、管理売春になるというので、いまはホテルに泊まってもらっています」

 

 と明かすのは、関西のあるソープランドの代表者だ。

 

 

 警視庁は3日、スカウトグループ「アクセス」のナンバー2で経理担当会社「EBCD」社長だった村上裕太容疑者を、職業安定法違反(有害業務への職業紹介)の容疑で逮捕した。

 

「仲間と共謀して2024年2月から4月にかけて、いずれも20代の女性3人を大分県内の風俗店にあっせんした容疑です。村上容疑者は大筋で認めているそうです。警視庁によれば、村上容疑者は資金管理役で、女性を風俗店に紹介した際に担当したスカウトに発生する『スカウトバック』の報酬算定をしていたとされています。また、紹介先の店の開拓などもおこなっており、月に80万円以上の報酬を得ていたとのことです」(社会部記者)

 

 男が所属していた「アクセス」は国内最大規模のスカウトグループとされ、総勢で300人以上が所属。トップとされる遠藤和真容疑者と別の幹部2人も、1月30日に逮捕された。前出の社会部記者がこう解説する。

 

「スカウトバックは、現金をレターパックに入れて私書箱に郵送され、最終的にトップである遠藤容疑者のもとに集められていました。2019年からの5年間で、全国の契約先の風俗店350店から70億円を集めていました。

 

 入出金の記録が残らないように、風俗店とは現金でやり取りをしていたようです。遠藤容疑者の報酬は月に700万円以上だったことも確認されています。村上容疑者の会社には、7億円が送金されていました。スカウトらは、携帯電話などを使い、SNSで女性を集めていたようです。村上容疑者の会社は、こうした経費や広告、また、風俗店からの苦情に対応していた“表”の会社だったため、入出金記録が残っており、捜査がしやすかったようです」

 

 スカウトグループがここまで勢力を拡大させた背景には、2年前から顕著化した“悪質ホスト問題”がある。担当ホストから高額の酒を求められる、いわゆるあおり営業などが理由で、ホストクラブへのツケ(売掛金)が莫大な金額になり、女性が担当ホストからスカウトを紹介され、風俗店入りするケースが後を絶たない。

 

「ホストクラブは、もともと各都道府県の公安委員会への届け出が必要な事業なので、警察としてもなんとか悪質営業を取り締まりたいのでしょう。そこで、“資金源”を断つためにスカウトグループを壊滅させようとしているということでしょう」(同前)

 

 実際、警視庁は別の最大手のスカウトグループ「ナチュラル」の幹部を2024年に逮捕するなど、締めつけを強めている。「ナチュラル」も、やはり全国の契約先風俗店から50億円を集めていたという。全国規模のスカウトグループはまだほかにもあり、その背後には指定暴力団組織があるとして、今後はスカウト行為そのものの禁止も含めた法改正をおこない、対策を強化するという。

 

「今回の摘発では、スカウトバックを支払った風俗店も摘発されています。『アクセス』関連では、2軒のソープランド経営者が逮捕されています。いずれも売春防止法違反(場所提供)です。ソープランドは、法律では『個室付浴場業』に分類され、売春防止法違反容疑で経営者らが検挙されるのは異例ですが、スカウトバックを払っていたことで、一種の“見せしめ”として摘発を受けたものと思われます。悪質ホスト問題対策と同じで、やはり“資金源”となる風俗店と、スカウトグループの関係を遮断することが目的です。それだけ警察が本気だということです」(同前)

 

 全国の風俗店では、スカウトの紹介で入店した女性を解雇する一方、契約を直接、かわし直すなどの対応に追われているという。入店契約をしない女性はそのまま解雇するなど、スカウトグループとの決別を急いでいるものの、若年女性の人口が年々、減っている地方の風俗店では、そもそも女性の募集に苦慮している場合も多い。都会から安定的に女性の供給をしてくれるスカウトグループなしには、営業が成り立たないのが実情だという。

 

 そこで、スカウトグループも摘発されないため、形を変えて存続を図っているようだ。冒頭のソープランド代表者はこう語る。

 

「スカウトの紹介で来る女性の大多数は、期日までキッチリ在籍し、仕事をしてくれるありがたい存在です。この業界は、無断欠勤や無断退店は当たり前ですからね。スカウトからは、広告代理店を立ち上げるから、広告料やマーケティング指導料の名目で、これまでどおりスカウトバックを払うよう依頼もありました。

 

 もともと店の取り分から支払っていたので、むしろ、広告料や指導料なら税効果もあるので助かります。でも警察からは、スカウトは徹底的につぶす意志をひしひしと感じます。検挙されたら廃業は避けられません」

 

“イタチごっこ”はしばらく続きそうだ。

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