社会・政治
村上総務相「放送免許取り消しはできない」フジテレビ問題で “コンプラ違反” にも無反応…怒りの声殺到も剥奪しづらい裏事情
2月4日におこなわれた衆院予算委員会で、「日本維新の会」の藤牧健太議員が、フジテレビ騒動で揺れる放送業界のあり方について、村上誠一郎総務大臣に質問を投げかけた。
「(いま世間の話題となっている週刊誌報道の一件に関してではなく)あくまで一般論として質問させていただきます」
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と前置きしたうえで、藤牧議員は
「仮に放送局が、社会通念上、国民の理解を得られないような行為をおこなっていた場合、あるいは深刻なコンプライアンス違反があった場合、放送免許の取り消しという処分はあり得るのでしょうか?」
と質問。これを受けて、村上総務相は
「放送免許の取り消し事由については、外資規正法違反などが、電波法において限定的に列挙されております。ご指摘の深刻なコンプライアンス違反については、放送法、電波法とは関係ないものを意味されていると思いますが、免許取り消し事由として規定されておらず、これにより免許を取り消すことはできないものと承知しております」
と回答したのだ。深刻なコンプライアンス違反があっても「放送免許が取り消されることはない」という回答に、X上では批判が殺到。「重大コンプラ違反」というワードがトレンド入りする事態となった。
「藤牧議員は、同じく一般論として、『広告収入が激減するなどして、放送局の経営が危機的状況に陥った場合、放送免許の取り消しになるのか』と、別の角度からも質問しました。
これに対しても、村上総務相は、放送免許を与える際は『経理的基礎』が必要だが、免許期間中に『経理的な基礎』が欠けても、電波法上、取り消し事由とはならないと回答したのです。
さらに藤牧議員は、過去に地上波テレビで放送免許の取り消し、あるいは再免許が与えられなかった事例があるか質問しましたが、村上総務相はそうした事例はないと答えました」(社会部記者)
藤牧議員は、「日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東」の5系列が地上波テレビ放送を独占している現状を指摘し、「地上波テレビ放送の5系列独占こそが、戦後日本が生み出した最大の利権構造のひとつ、既得権益そのものなのではないでしょうか?」と、今度は石破首相を指名。
「石破首相は、放送免許の有効期限は5年で切れるため、その都度、新規事業者も含め、申請を受け付けていることを説明。自身が子供のころの山陰地方では日テレ系列しか映らなかったため、ジャイアンツ以外観たことがなかったと、軽く “石破ジョーク” を交えて説明するも、いまいち不発に終わりました。
総理は、時代の変化に応じた変革について『見直しに努めていきたい』としつつ、『新規参入のニーズが実際にあるかどうか、私、よく存じませんけれども、新規参入する場合の障害、障壁というものを取り除く努力は、今後もいたしてまいります』と回答しました」(同)
こうした村上総務相、石破総理の回答に、X上では、
《規定されていないから取り消さなくていいというわけないだろ》
《なら、コンプラなんかいらないじゃん》
《放送免許は電波帯域という希少資源を占有する権利なのに、どんな違反をしても剥奪するルールが無いなら、それは既得権益の維持を目的とした官民癒着の独占カルテルだし、独禁法に抵触するだろ》
など、猛批判が飛び交っているほか、
《まぁ、前例が無いから対応する法律が無いんだろう。それなら法改正したらエエねん。前例が発生したんだからさ》
といった声も複数あがっている。
「村上総務相は、現在の法的な建て付けについて淡々と説明した形でしょうね。
フジテレビの問題が騒がれている現状では、多くの人から批判が殺到するのも当然ですが、一方で、テレビ局にはマスメディアとして政府を批判的に監視する役割もあります。こうしたメディアに対し、安易に放送免許の取り消しを言及できないという事情もあるでしょう。実際、安倍政権下では、テレビ番組への圧力があったとして非常に問題になったこともあります。
とはいえ、まさにいま問題視されているように、メディアそのもののコンプライアンスに対して世間は非常に厳しい目を注ぐようになりました。政府の力に頼らず、自浄作用を強化するにはどうすべきなのか、今後も議論はつづきそうです」(同)
それほど視聴者のテレビ局への不信感は深刻というわけだ。