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六代目山口組を沖縄暴力団新会長が来訪、直後に開かれた「40分密談」でささやかれる“代替わり”へのカウントダウン
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密談後、笑みを見せた司組長(写真・ともゆき)
2月12日、愛知県内にある六代目山口組傘下の施設に、沖縄の旭琉會の新会長、糸数真氏らが訪れた。この日は、5年半ぶりに決まった同會の新会長就任のあいさつの場。かねてから付き合いの深い、六代目山口組と旭琉會の面々が久々に顔を合わせた。
「旭琉會を迎え入れる準備が整った後の午後2時ごろ、六代目山口組司忍組長が到着しました。そのおよそ40分後に旭琉會の会長らが到着しました。会合の時間は30分ほどでした。
今回は、あくまで新会長に就任したあいさつが目的なので、長居はしなかったのでしょう。司組長も、見送りの際には笑顔で手を振っていました」(ヤクザ界に詳しいジャーナリスト)
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無事にあいさつを終えた旭琉會の面々は、会談を終えると帰路に就いた。しかし、ここから異例の事態が始まる。施設内に残されたのは、数少ない組員を除けば、六代目山口組のトップである司組長と、ナンバー2である髙山清司若頭の2人だけという状態だった。
「この2人は、ふだんから昵懇にしているわけではないといわれています。組の会合などがあって、顔を合わせたときに話す程度です。それなのに今回は、旭琉會の新会長らが帰ってから、40分も話し込んでいました。これはかなり異例なことです。
通常なら、こうした会合が終わると、すぐに司組長の車が横付けされ、後部座席のドアを開けて組長が乗り込むのを待ちます。ところがこの日は、車が横付けされるまでは同じでしたが、いつまで経っても司組長が出てこなかったのです。
事務所のなかには髙山若頭もおり、2人でいったい何を話し込んでいるのだろうと、現場はざわついていました。何か不測の事態でも起きたのかと思いました」(同前)
この日の天候は、みぞれまじりの雨。司組長の車の周囲には、見送りのために組員がずらりと並び、微動だにしない姿勢のまま、時間が過ぎた。すでに運転手も車に乗り込んでおり、司組長の帰りを待っていた。
結局、司組長が出てきたのは、40分後のこと。司組長は、車に乗り込む際には笑顔を見せながら、施設を後にした。その直後には髙山若頭も姿を見せ、帰路に就いた。まさに山口組トップ2の「密談の時間」だったのだ。いったい2人は、何を話し込んでいたのか――。
ある暴力団関係者は、この日に密談をおこなったのには、理由があるのではないかという。
「というのも、今回、新会長に就任した旭琉會の糸数会長は、六代目山口組弘道会の野内正博若頭と兄弟分だといわれているんです。それぞれ別の組織でも、組員同士が兄弟分になることはあります。
ただ、それぞれの“座布団”(組織内での肩書)が違うと、兄弟間でバランスが取れません。今回のように、糸数会長は会長になり組織のトップに立った一方、野内氏は六代目山口組の2次団体のナンバー2という立場にあります。
こうした際にとられる措置としては2つ。ひとつは、兄弟分の関係性を解消すること。そしてもうひとつが、座布団が低いほうの肩書を上げることです。
そのため、六代目山口組内で野内氏の位を上げないといけなくなったのではないでしょうか。現在、野内氏の上の位には六代目山口組の竹内照明若頭補佐がいるので、竹内氏を昇格させることになります。六代目山口組のなかでナンバー3、次の組長との呼び声も高い竹内氏が昇格するとなれば、最低でも若頭――つまり、いま髙山氏がいるポジションになるわけです。必然的にこの人事は、六代目山口組の代替わりを意味することになるでしょう。
司組長と髙山若頭は、2人で今後の体制について話し合っていたのかもしれません。そうなれば、沖縄の暴力団組織の新会長就任が、結果として日本一の暴力団組織の代替わりを促した、ということになるかもしれません。
かねてから髙山若頭は、司忍組長と一緒に引退するのではないかといわれてきました。その際にトップに立つのが、竹内若頭補佐だとの声も聞こえてきます。“七代目体制”へのカウントダウンも迫ってきているのかもしれません」
沖縄からの来訪者が、本土のヤクザ社会を大きく変えるかもしれない――。