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48万円の書籍が予測10年後に大儲けする企業とは(2)
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.01.31 11:00 最終更新日:2018.01.31 11:00
2017年12月15日、日本経済新聞朝刊に掲載された、ある新刊書籍の広告が話題になっている。
『未来市場2018-2027』(日経BP社)というタイトルで、人工知能(AI)、自動運転、仮想通貨など、有望市場の10年後の未来の市場規模を予測するものだ。読者の度肝を抜いたのはその価格。A4判278ページながら、48万6000円(税込み)という衝撃的なプライスがついていたのだ。
そんな『未来市場』が、特に注目しているのが、“いま空いている資源”を有効に活用している市場だという。
「空いている“働く時間”に着目したのが副業ビジネス。空いている“居住スペース”に着目したのが、民泊です」(前出の秦氏)
なかでも市場が拡大すると推定されるのが、空いている月極や個人の駐車場を一時利用できるサービスだ。
「2017年現在、日本に、シェアできる駐車場スペースは約7400万カ所あると推定されますが、駐車場シェアリングを活用しているのはわずか0.05%にすぎません。これが、2027年にはスペースはさらに500万カ所以上増え、活用率は3.6%と70倍以上に拡大する見込みです。現在すでに1万以上の拠点を有し、鉄道会社やUR都市機構などと提携を結んでいるakippa(2014年サービス開始)の、先行メリットは計り知れません」(同前)
市場規模が数十倍にまで拡大するには、akippaのような企業の登場が欠かせない。膨大な先行投資、性能向上やコスト低下への企業努力が、インフラとしての普及を促すのだ。
今回紹介している「先行企業」は、立ち上がりはじめたばかりの市場で、頭ひとつ抜きん出ている革新的プレーヤーを、秦氏の監修で紹介する本誌オリジナル企画だ。もちろんさまざまな障壁はあるが、市場が『未来市場』の予測どおりに進んだ場合、大躍進している可能性は高い。
「イノベーションは、10年サイクルで起きています。20年前はインターネット。10年前はモバイル通信。現在は、あらゆるモノがインターネットでつながるIoTです。10年後は、自動運転技術と仮想通貨システムを支えるブロックチェーン(分散型台帳技術)が主役になっているはずです。10年後のトレンド企業は、もうすでに助走を始めていますよ」
10年前、IoTといわれて反応できただろうか。『未来市場』か本記事を読んだ方なら、2027年に何十倍になった株価を見て、買わなかったことを悔やむことはないだろう。
【駐車場シェアリング】70.1倍
(2017年の市場規模50億円→2027年の市場規模3507億円)
個人または企業が保有する駐車場を、空いている時間に貸し出すシェアリングエコノミーのひとつ。現状のシェアリング可能な駐車スペースは約7418万カ所。2027年には約7938万カ所が見込まれている。大きく拡大する市場のひとつだ。
●注目の「先行企業」akippa
本文にも登場したakippaは、京浜急行やJR九州との提携やシェアサイクルとのコラボなど、先行者のメリットを存分に生かしている。
【民泊】6.2倍
(2017年の市場規模1262億円→2027年の市場規模7808億円)
政府も「日本再興戦略2016」でシェアリングエコノミーの推進を掲げている。2017年の日本国内の延べ宿泊利用者数は約5億人と推定され、2027年はさらに1億人弱の増加を見込む。もっとも利用されると思われる価格帯は5000円で、約1億泊されると推定されている。
●注目の「先行企業」大和ハウス
「2月、大和ハウスが訪日外国人向けに滞在型マンションに参入します。民泊へと事業を広げていくかもしれません」(秦氏)
【シニア向け住居】2.9倍
(2017年の市場規模1兆5919億円→2027年の市場規模4兆6115億円)
団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題。シニア向け住宅の市場も有望とされる。ただし、その後の人口減少を見越した運営が必要。少子化が進むなか、資金はむしろ子育て関連に向かう。そうした事業に転換するなどのリスクヘッジが求められる。
●注目の「先行企業」旭化成ほか
ニーズの高まりから旭化成、東急不動産、トヨタホームなど、建設大手が続々と参入している。
【副業ビジネス】6.1倍
(2017年の市場規模3400億円→2027年の市場規模2兆701億円)
政府は2016年12月、厚生労働省の「モデル就業規則」を見直し、副業を原則容認することにした。労働環境の変化もあり、2027年には6.1倍の伸びが期待される。給与400万〜700万円未満の会社員の副業収入も、27万5000円 (2017年)→110万円(2027年)に伸びると予測。
●注目の「先行企業」Waris
副業を探す人と会社を結ぶマッチングサービスが人気。秦氏は働く女性に重点を置いた「Waris」に注目している。
【拡張現実(AR)、仮想現実(VR)用ゴーグル】11.6倍
(2017年の市場規模76億円→2027年の市場規模879億円)
“VR元年”とされる2016年時点で、家庭用ゲーム機を恒常的にプレーしている人のうち、VRデバイスを購入したのは0.71%だ。2027年時点でのゲーム利用者は推定で約2812万人。そのうち18%がVRデバイスを新たに購入、または買い換えると予測した。
●注目の「先行企業」ソニー・インタラクティブエンタテインメント
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが強いが、フェイスブックも独自に開発。2018年は産業用機器に視線が集まる。
【介護用ロボットスーツ】29.2倍
(2017年の市場規模19億円→2027年の市場規模454億円)
人体に装着するパワードスーツ。高齢化によって重労働をになう労働者が減り、介護従事者用の需要が拡大する。2020年時点での普及率は介護従事者の1%程度だが、10万円程度の安い商品が普及し、2027年には11.8%に普及、454億円規模になると予測されている。
●注目の「先行企業」サイバーダイン
2017年12月、ロボット医療機器として初めて米食品医薬品局から承認を得たサイバーダインが先行している。
【リストバンド型ウェアラブル端末】1.6倍
(2017年の市場規模1935億円→27年の市場規模3137億円)
2012年にソニーが「SmartWatch MN2」を発売し、2015年発売の「Apple Watch」が人気のリストバンド型ウェアラブル端末だが、普及率は2017年時点でまだ15%。腕時計の利用率や買い替え率なども分析した結果、2027年時点では50%に拡大しそうだ。
●注目の「先行企業」Apple
JINSがメガネ型端末、サムスンがイヤホン型端末に参入するなど研究が進むが、リストバンド型はApple Watchが圧勝だ。
【AIによる事務代行】57.1倍
(2017年市場規模371億円→2027年市場規模2兆1172億円)
将来的には、労働人口の約49%が技術的にAIで代替可能になる。契約書などをPCに打ち込むなどの定型作業は、早くからAIに取って代わられることになる分野。2027年時点で1094万人いる事務業務従事者(年収250万円。企業が負担する総コスト500万円)の20%がAIに移行する。
●注目の「先行企業」タカラトミーほか
日本で展開するAIロボットは「日本語の壁」があるため日本企業が強い。NTTドコモとタカラトミーの異業種もタッグを組む。
【配送用ドローン】?倍
(2017年の市場規模0円→2027年の市場規模3060億円)
2020年にはサービスがスタート。2027年には日本国内だけで1日2689万件の小口配送がおこなわれ、日の出から夕方までという時間制限などを考慮すると、そのうちドローンが配達するのは393万件。2017年時点では市場が創生されていないため、倍率による比較は不可能だ。
●注目の「先行企業」楽天
コントローラー操作の必要がない完全自律飛行型のドローンを共同開発し、ローソンとも提携した楽天が一歩先をいく。
【自動運転】41.7倍
(2017年の市場規模2879億円→2027年の市場規模12兆119億円)
部分的に自動運転が可能な車両は2022年、完全に自動運転が可能な車両は2025年に市場に投入されると予測。乗用車販売台数は2017年の400万台から20万台ほど減るが低価格販売を含むオートマチック車のすべてに自動運転機能が搭載され、低価格帯の車両にも機能搭載が進む。
●注目の「先行企業」日産ほか
高速道路の同一車線を自動運転するプロパイロットの本格普及を目指す日産、自動運転制御技術のZMPにも注目したい。
【個人向け投資ロボアドバイザー】454.6倍
(2017年の市場規模10億円→2027年の市場規模4546億円)
家庭の貯金の資産運用をAIを活用したロボアドバイザーに相談するサービス。最適な投資信託を診断し、自動で売買してくれる。その手数料収入が飛躍的に伸びると推定されている。企業や公共機関の利用を含めると、市場規模はさらに大きくなる。
●注目の「先行企業」みずほフィナンシャルグループ
みずほ銀行は「SMART FOLIO」サービスをイオン店内などで展開。大手法人向けのノウハウを個人向けに提供する。
(週刊FLASH 2018年1月16・23日合併号)