社会・政治
石破首相「コメの値段は1.5倍」に集まる猛反発…「5キロ5000円」も現実味を帯びる「横流し」の実態
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石破首相(写真・JMPA)
「倍とは言いませんが、5割は上がったという実感は持っております」
2月17日の衆院予算委員会で、高騰するコメの値段について質問された石破茂首相が、こう答えて国民から猛反発を受けている。
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「それもそのはずで、石破首相の発言は、国民の生活実感からほど遠いものでした。
間が悪いことに、答弁翌日の18日に農林水産省が2月3~9日にスーパーで販売されたコメ5キロあたりの平均価格を発表しました。それによると前年同期と比べ、およそ9割高い3829円だったのです。
石破首相の認識不足が露呈した形になりましたが、質問内容はあらかじめ知らされていたと思うので、事務方の不手際だったのではないでしょうか」(政治担当記者)
令和のコメ騒動は一向に収まる気配を見せないが、政府は2月14日に最大21万トンの備蓄米を放出すると発表。入札を経て3月下旬には店頭に並ぶとみられるが、国民からは「転売ヤー対策をしろ」という声もあがっている。
「コメの流通にはまったく関係ない職種や外国人が農家を訪れて米を買い漁り、それを小分けにしてインターネットで売っているという情報があるのです。
コメ全体の流通量からすると数%と微々たるものですが、価格高騰に苦しむ国民からすれば、腹立たしい限りでしょう。しかも、5キロと表示しながら4キロだったりするそうです。こうなると詐欺ですね」(事件担当記者)
こうした「横流し通販米」に、北陸地方の大手コメ卸業者が注意を促す。
「まず心配なのは保管状況です。われわれは家庭用冷蔵庫とほぼ同じ5度の冷蔵庫で貯蔵しています。湿度も一定です。
しかし、転売ヤーは普通の倉庫に積んだままでしょう。冬ならまだ心配しませんが、春になれば温度も湿度も上がり、コクゾウムシやノシメマダラメイガなどの害虫が発生する危険があります。食べても無害ですが、大量発生したら手におえません。
ほかにも、カビが生えたりコメ粒が割れたりします。ネットで怪しげな出品者から購入すると、こういった危険があります」
そして、コメの流通に詳しい販売業者は「消えた21万トンと言われますが、実際は40万トン不足しているとされます」と驚きの事実を告げる。
「昨年は『新米が出回ればコメ不足は解消する』と言われましたが、夏には2023年産が枯渇していたので、2024年産の新米を入荷してもあっという間になくなりました。
だからいま、私たちの倉庫にコメはほとんどありません。どこの卸業者もそんな感じです。SNSには『売り渋っている』という書き込みもありますが、われわれもコメがなくて困っています。そうしたことを推計すると『40万トンの不足』になるそうです。
これでまた、夏の猛暑や台風で収穫が少なくなれば、日本のコメ生産は大打撃です。5キロ5000円も現実味を帯びてきます」
絵空事とは思えない警告だ――。