社会・政治
麻生太郎氏を悩ませる「福岡県政のドン」県議会議長の椅子“再奪取”の企み…地元前県議の収賄逮捕も痛手
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2月20日、見送りの議員に手を振り、帰路につく麻生太郎氏(写真・長谷川 新)
2024年末に肺炎で緊急入院したと報じられた自民党最高顧問の麻生太郎衆院議員。
2025年1月下旬から2月中旬にかけて、国会を取材していた本誌カメラマンが目撃したのは、目をつむり天井を見上げ、時に机に突っ伏して、居眠りしている麻生氏の姿だった。
本誌カメラマンが目撃しただけでも、4日間で計250分、居眠りをしていた。
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ある政治評論家は「年齢的なものだと思いますが、全体的に衰えたという感じがします」と話す。
「衆議院本会議には途中退席することなく出席しております。健康状態に大きな問題はございません」(麻生太郎事務所)と言うように、2月20日夜、麻生氏は東京・赤坂の高級中華料理店で麻生派の自民党議員らと会食。
2時間後に赤らんだ顔で店から出てきた麻生氏は、ご機嫌の様子だった。
そんな麻生氏を今、悩ませている問題があるという。麻生氏の地元である自民党福岡県連関係者が言う。
「麻生氏と連携している福岡県政の“ドン”と言われる、蔵内勇夫県議に関することです。蔵内氏は、2026年から日本人初となる世界獣医師会会長に就任することが決まっています。会長就任については麻生氏も何らかの支援をしたと聞いています。本来ならその職に専念すればいいのですが、蔵内氏は福岡県議会議長への再登板に色気を見せているんです」
蔵内氏は2001年から1年間、福岡県議会議長を務めているため、通常なら2回目はないはずなのだが、なぜ再登板を目指しているのか。
「全国都道府県議会議長会の会長が、2025年6月ごろに交代するのですが、次の会長は九州から選出することになっています。福岡県議会議長は2025年5月に交代する予定なので、蔵内氏は議長会の会長職に就きたいがために、再び県議会議長になれるように根回しをしているのです。
本来なら別の議員が議長になる予定だったところ、強引に自らその椅子を奪おうとしているんです。もちろん、麻生さんの了承を得てのことだと思いますが、さすがの麻生氏も地元の福岡県政のドンである蔵内氏には『身を引け』とはなかなか強く言えない。そうしたジレンマを抱えているのです」(同前)
さらに、悩みの種はほかにもあるという。
「健康運動に対する福岡県の助成事業において、2月17日に現金2800万円を受け取った収賄容疑で前福岡県議会議員の片岡誠二容疑者が逮捕されました。片岡容疑者は、側近とまではいかないものの麻生氏の地元選挙区の県議でした。
片岡容疑者は麻生氏との会合や選挙での様子を自分のホームページで報告し、麻生氏との写真も多数アップしています。麻生氏としては選挙区の自民党前県議が汚職事件で逮捕されたわけですから、イメージダウンにつながります。
党内で麻生氏のことを快く思っていない議員からは『麻生先生の近くにいると不幸になる』といった陰口も出はじめているようです。いずれ長男の将豊(まさひろ)氏に引き継ぐため、麻生氏にとっては今のうちに1人でも仲間を増やしておきたいところですから、片岡前県議の逮捕は痛手だったと思います」
自民党で唯一残る麻生派は、1年前には56人の所属議員がいたが、現在は46人に減っている。長男へバトンタッチするまでに麻生氏は仲間を増やすことができるのだろうか。