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【岩手県山火事ルポ】東日本大震災の教訓生きた! 避難所には “山盛りカップ麺” と “リッチテント”…火災現場の近くでは「咳が止まらない」煙の被害も
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テントが並びプライバシーが確保された避難所
2月26日、岩手県大船渡市で確認された山火事。2日が経過した28日現在も、市内の至るところで消防車のサイレンが鳴り響いており、約1750世帯、約4200人に避難指示が出ている状況だ。
避難所となっている、大船渡市の文化会館・市立図書館「リアスホール」には約250人、同じく避難所の大船渡市立越喜来小学校には160人以上の人々が身を寄せ合っている状況だ。避難所といえば、殺風景な体育館にところ狭しと並んだ布団、プライバシーもなにもない過酷な状況下と思いきや……。
「世帯ごとにテントがあるんですよ」
こう語るのは、子供を連れて避難をした30代の女性だ。
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「2〜3名が過ごせる小型のテントが設置されていて、出入口は完全に閉められるようになっています。プライバシーが守られるのですごく安心できます。自宅から運び出した貴重品や、支給された毛布をおいていますよ。車ごと避難して車中泊をしている知り合いも多いですが、テントがあるなら避難所でもいいかなと思っています」
さらに、数カ所に分けて、机の上に山盛りのパンやカップラーメン、おにぎりや菓子が並べられ、ダンボールにはお茶や清涼飲料水、野菜ジュースが大量に積まれている。災害発生から2日めとは思えない迅速な対応だ。
避難所を管理している大船渡市職員はこう答えた。
「われわれの地域は東日本大震災で大きな被害を受けています。壊滅的になった当時は、大広場での雑魚寝、食料不足、そして電気ガスが使えないので風呂やトイレにも一苦労する状況でした。その教訓をもとに、災害時の対応を市として強化していたんです。
具体的には、テントの常備や、市と協定を結んでいる近所のスーパーなどからいち早く食料を調達することです。近隣の入浴施設や温泉では、被災者は無料で入浴できるようになっています。もちろん、あくまでも避難所なので、被災者の心身の負担は大きいと思います。それでも他の被災地に比べたら対応は早いと思っています」
実際、近年大規模な避難所が設置された事例といえば、2024年1月に発生した石川県の能登半島地震だが、当時は多くの避難所が “雑魚寝” の状態でプライバシーの確保にも苦慮していた。一方、岩手県では即座に “山盛りカップ麺” と “リッチテント” を用意できている。まさに教訓が生きたという形だ。
一方、火災現場に近い避難所のひとつ、大船渡市立越喜来小学校では山火事特有の事情に苦しんでいる。
「咳が止まらないんですよ。一歩でも外に出たら臭いのなんの。少しは運動したほうがいいのだろうけど、こんな調子じゃ外に出られないのよ。お医者さんが健診に来てくれるみたいだから、それを利用しなきゃいけないかもしれません」
こう嘆くのは80代の女性だ。実際、同避難所の周囲にある山々は濁った空気で覆われており、晴れ渡る空の下は灰色の層で覆われている。また、特に高齢者は、食料が十分にあっても、健康を維持できるわけでもない。70代の男性は持病の心配をしている。
「わたしは高血圧があって、毎日薬を飲まないといけない。煙が見えたから、あわてて妻と子ども2人の4人で家を出たのだけど、薬が足りるか心配です。食料があるのは大変ありがたいですが、被災地の食事はカップラーメンやパンが主流。いつもお医者さんに止められているものだから、この生活が続いたら体を壊してしまう。早くもとの生活に戻りたいですよ」
いつになったら火は消えるのか……。