社会・政治
「ガソリン税を下げて!」国民の願い虚しく石破首相は案の定の “後ろ向き” 発言、自民党の “やっぱり棚上げ” 再来の危惧

2月28日、衆院予算委員会で登壇した石破茂首相(写真・長谷川 新)
3月4日午後、衆議院予算委員会で2025年度予算案が可決され、同日に衆議院本会議でも可決された。今後は参議院で審議がおこなわれる運びだ。
「当初の政府予算案が国会審議で修正されるのは、橋本龍太郎内閣以来29年ぶり。今回は3400億円ほどの減額修正となりましたが、減額修正となると、鳩山一郎内閣以来70年ぶりのことです。
今回は、自民党、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決したわけですが、少数与党の石破内閣は、早くから維新の会との交渉を続けていました。維新が公約にする教育無償化の具体策を予算案に反映させ、さらに開催が迫る『大阪・関西万博』の全面協力を手形にすることで賛成を取りつけました」(政治担当記者)
石破首相は、ひとまず「やれやれ」と胸をなでおろしているところだろう。
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だが、今後、国民の関心が高い『ガソリン税の暫定税率廃止』が主要テーマになると見られている。石破首相の安堵もどこまで続くか……。
ガソリン税は本来、「1リットルあたり28.7円」だが、1974年に「道路財源の確保」をおもな目的に、暫定税率として25.1円が加算され、現在の53.8円になっている。
東日本大震災の復興財源にも充当されているが、石油石炭税2.04円、温暖化対策税0.76円、消費税で10%が徴収されるなど「税金のかたまり」とも指摘され、国民負担は大きい。
「廃止は野党各党が一致して要求しており、自民党も表向きは同調していますから、石破内閣も『ゼロ回答』というわけにはいかないでしょう。対応を間違えれば、内閣支持率の低下につながる心配があります」(自民党議員秘書)
野党は、今夏の参院選を見据えて攻勢を強める。
「立憲民主党、国民民主党は『2024年4月からの廃止』を訴え、関連法案の修正案を3月3日に共同で衆議院に提出しましたが、4日の衆議院財務金融委員会で、与党や維新の会が賛同せず否決されました。維新の会も4日に『2026年4月から廃止』とする法案を提出。自民党、公明党を交えて協議することを確認しています。今後は立民、国民にも協議への参加を呼びかけるそうです」(前出政治担当記者)
しかし、ガソリン暫定税率の廃止については、これまで何度も「自民党の裏切り」にあっている。
「直近では2024年10月の衆院選後、議席を増やした国民民主党が与党に迫り、12月11日に廃止で合意。しかし、廃止時期については明記しないという『玉虫色』の内容でした。
廃止によって国が年約1兆円、地方が年約5000億円の減収になることを危惧した声が高まったため、政府と与党は『減収ぶんの代替財源についての議論が必要だ』として、結局『継続協議』になりました」(野党担当記者)
今回も同様の「伏線」が垣間見える。石破茂首相は、3日の衆院予算委員会で「財源や地方の減収ぶんに結論が出ないまま、いつ廃止すると言うことはできない」と答弁した。
車の使用率が高い地方で暫定税率廃止を求める声は大きい。「地方創生」を掲げる石破首相だが、やはりこのスローガンも「口先だけ」なのかもしれない。