社会・政治
石破首相「出会いの場を作る」とんちんかん少子化対策に怒りの声…若者のリアル「金がない」が置き去りのズレっぷり

石破茂首相
石破茂首相の発言がまたしても波紋を呼んでいる。
それは3月3日の衆院予算委員会でのことだった。石破首相は、昨年の出生数が過去最少を更新したことを受け、自民党の田所嘉徳氏の質問に答える形で、
「いい悪いを言うつもりはないが、日本の場合には婚姻があって出生があるということになっている。婚姻率が低いところほど人口は減るということが起きている」
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と、少子化対策として、婚姻率の向上を議論すべきとの考えを示した。そのうえで、
「いかにして婚姻率を上げるかということは、個人の価値観に国が介入すべきでないことは承知しているが、出会いの機会が恐ろしく減ったことは間違いないと思っている。
見合い結婚はほとんど絶滅した。社内結婚も数字としてものすごく下がっている。そういうことを言おうものなら、パワハラ・セクハラと指摘を受ける」
と私見を述べた。続けて、「価値観に国が介入すべきではない」と繰り返し強調しながら、「いかにして出会いの機会を作っていくかということは、やはり行政として努めていかねばならない」と論じた。
この発言に対し、SNSでは怒りの声が続々と寄せられている。Xでは、
《論点がズレてる。 少子化は出会いの減少が問題ではない》
《出会いがないんじゃなくて金がないんだよ》
《金が無くて出会うための社交も出会い後のお付き合いもできないからだよ》
といった意見が多く寄せられている。
実は、石破首相は同じ答弁で「非正規の婚姻率は正規労働者に比べて明らかに低い」とし、「いかにして望まない非正規労働者を減らしていくか、収入を増やしていくか」と、収入についてもわずかに触れている。
だが、あまりに「出会いの重要性」を強張したことで、SNSでは誤解が広まったようだ。
「出会いの機会を増やす前に、賃金の引き上げや長時間労働の是正など、若者の経済的な安定をどう図るのか、そちらに重きを置いた答弁をしてほしかったですね。
実際、大和総研の調査によると、東京23区に住む30代子育て世帯の世帯年収は、半数近くの48.6%が1000万円を超えているそうです。逆にいうと、都会で子供を育てられるのは高所得者ばかり、というのが現実です。
石破首相は、経済格差が広がり、多くの若者が結婚はもちろん恋愛さえもできなくなっている現状をほとんどわかっていないのではないでしょうか。有権者が怒るのももっともです」(政治担当記者)
国民の苦しみを理解してくれる政治家はいないのか。