社会・政治
【兵庫・斎藤知事問題】議会に押しかけた大量の“斎藤マダム”百条委の結論は“ノーダメージ”も残る選挙違反の疑い

百条委の報告を聞く斎藤知事(写真・時事通信)
3月5日、兵庫県斎藤元彦知事に関する“パワハラ告発文書”について、百条委員会がまとめた調査報告書が可決された。
「調査報告書は、告発文書をつくった元局長を特定、公表し、さらに懲戒処分とした斎藤知事ら県の対応を、『告発者つぶしと捉えられかねない不適切な対応。客観性や公平性に欠いており、大きな問題があった』などと厳しい文言で批判。さらに、公益通報者保護法に違反している可能性も指摘しています。
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また、“おねだり疑惑”がかけられていた斎藤知事による贈答品の受領についてもおおむね事実関係を認定。そのうえで『兵庫県のリーダーとして厳正に身を処することを期待する』として、斎藤知事に事実上の辞任勧告をおこなう非常に厳しいものでした」(政治部記者)
同報告書の決議をおこなうにあたり、秘密会での片山安孝前副知事と奥谷謙一委員長がやり取りする音声を流出させた増山誠県議と、同じく知事選中にNHKから国民を守る党党首の立花孝志氏に接触したことを認めた白井孝明県議らは反対。立花氏に真偽不明の情報提供文書を渡す場に同席した岸口実県議(無所属)は退席した。
可決にいたる裏側を地元紙記者はこう語る。
「反対答弁をした増山県議には議場内から大きな拍手が沸き起こりました。議会には“斎藤マダム”と呼ばれる熱狂的な斎藤さんの女性支持者が大挙して訪れ、傍聴席に陣取っています。やはり、斎藤知事に一定の支持があるのは動かしがたい事実ですね。こうした“民意”を背景にしてか、登庁時に囲み取材に答えた斎藤知事は、『自分も含めて県の対応に間違いはなかった』と答えています。
昨年9月に県議会が知事不信任決議案を全会一致で可決したため、斎藤知事は失職を選び、11月の出直し知事選で100万票以上を獲得して返り咲きました。その経緯から、知事不信任案の再提出は正当性に欠け困難であることから、議会は県が設置した第三者委員会の結論を待つというスタンスのようです」
証人の偽証には法的処罰が科されるほどの強い調査権を持つ百条委員会ではあるが、調査報告書の内容に法的拘束力があるわけではない。厳しい結論となったが、斎藤知事にとって実質的に“ノーダメージ”となる可能性がある。ところが、これで斎藤県政は安泰かというと、そういうわけではなさそうだ。
「出直し選挙の際に、斎藤選対の広報責任者だったとSNSに投稿したPR会社代表取締役の折田楓氏の問題が残っています。同氏と斎藤知事には選挙違反の疑いがかけられており、神戸地検と兵庫県警はすでに折田氏の関係先に家宅捜索をしています。
家宅捜索までしておいて、“お咎めなし”という可能性はかなり低い。捜査の結果次第では、再び波乱が起きるでしょう」(前出・地元紙記者)
兵庫に“日常”が戻るのはいつなのか……。