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2018年「皇室」はこう変わる…譲位の予算から退位後の生活まで
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.02.06 11:00 最終更新日:2018.02.06 11:00
「退位される前にと思い、今年初めて来ました。距離があってお顔は見えにくかったですが、お声だけでも聞けてよかった。両陛下がお出ましになる新年一般参賀があと1回と思うと、寂しいかぎりです」(参賀に来た50代男性)
1月2日におこなわれた新年一般参賀。天皇陛下の退位日が2019年4月30日と決まったこともあり、平成に入って最多の約12万7000人が皇居に集まった。
2018年1月から早速、退位と即位に関わる儀式などの準備が本格化する。1月9日には政府の準備委員会の初会合が開かれた。表は、2018年(平成30年)から2019年(平成31年)にかけての「ラスト平成ロードマップ」だ。
以下、Q&A形式で、皇室の未来について考えよう。
Q.退位した両陛下のお住まいは?
元宮内庁職員でジャーナリストの山下晋司氏が解説する。
「両陛下は、事務棟増築などの改修整備を施した高輪皇族邸(東京・港区)を仮住まいとされます。新天皇となる皇太子殿下のご一家は、皇居内の御所の老朽化した設備の取り替えなどをおこなった後、御所に引っ越されます。
その後、東宮御所(皇太子殿下邸)にエレベーターを設置するなどのバリアフリー化を施し、両陛下が『仙洞御所』としてお住まいになります」
Q.退位、改元にはいくらかかる?
「昨年12月に閣議決定された平成30年度予算案には、御代替わり関係の経費として35.6億円が計上され、そのうち17.3億円が改修、増築などお住まいに関わる経費です。
また、新天皇の即位にともなう一連の儀式で用いる装束の調達費、即位を宣明する『即位礼正殿の儀』に用いられる御台『高御座』などの修理費が、16.5億円。平成30年中に目に見える形で御代替わりの準備が始まります」(同前・山下氏)
Q.上皇のお世話をするのは?
天皇陛下が即位された1989年に、内閣官房副長官として実務を取り仕切った石原信雄氏はこう言う。
「皇太子殿下ご一家を補佐している東宮職のような、上皇職が新設されます」
現在両陛下を支える侍従職職員約80人に対して、上皇職の職員は60人台半ばとされている。
Q.一般参賀や記者会見はどうなる?
国民にとって馴染み深い宮中晩餐会、一般参賀、お誕生日の記者会見……。退位で、両陛下のお姿を見ることはできなくなってしまうのか。
皇室研究家の高森明勅氏によれば、「新天皇と上皇が並び立つ『二重権威』を避けるため、上皇さまは国事行為や宮中の行事にいっさい関わらなくなるとされています」という。
Q.退位後の生活は?
「陛下はお好きな研究に没頭され、皇后さまは造詣の深い美術などの展覧会などにお出ましになるでしょう。つまり、お姿を見ることができるのは、プライベートな外出のみになるのです」(皇室ジャーナリストの久能靖氏)
だが、前出の石原氏はこう付言する。
「そうはいっても、陛下を慕う国民の声は無視できません。陛下は、ご自身のお出ましで、新天皇の存在を薄めたくないという思いが非常に強いと聞いています。私的な行為の範囲など、上皇の地位について具体的な線引きが課題となっています」
Q.上皇を誰がお守りする?
現在皇族の警護は皇宮警察が担っているが、ここに難問が。
「皇宮警察のどの課が上皇をお守りするか、まだ決まっていません。皇宮警察には定員があります。配置を換えれば、人員不足となる課が出来てしまう。しかも、警護を担当する側衛官には、護衛としての高い能力が求められます。足りないからといって、人材の確保がすぐにはできません」(前出・久能氏)
仮住まいとなる高輪皇族邸にも、警備上の問題点がある。
「高輪邸の周囲には、高いビルが少なくありません。邸内でのお2人の行動が、“見下ろせて” しまうのです。警備上の問題は、担当者にとって非常に頭が痛いです」(久能氏)
「ラスト平成」の日に向け、慌ただしい1年が始まった。
(週刊FLASH 2018年1月16・23日合併号)