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今治で山火事発生「2~5月に多い」理由を専門家が解説“人為的火災”の政府データも

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記事投稿日:2025.03.26 17:10 最終更新日:2025.03.26 17:10
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
今治で山火事発生「2~5月に多い」理由を専門家が解説“人為的火災”の政府データも

今治市で続く山火事(写真・共同通信)

 

 2月末に発生した岩手県大船渡市の山林火災に続き、またも日本で大規模な山火事が起こった。3月23日に愛媛県今治市で発生した山火事は、4日目となる26日も延焼が続いており、鎮圧のめどは立っていない。焼けた面積は306haにも上るという。火は住宅まで燃え広がり、9棟が全焼した。

 

 東京理科大学の桑名一徳教授はこう解説する。

 

 

「山火事では、炎の形がポイントです。炎は、普通は浮力により上を向きます。ところが風が吹くと炎が傾き、樹木などの近くの可燃物に接触するようになり、延焼するのです。木が燃えると火の粉が大量に発生しますが、風の強い地域なら、数百mの範囲なら簡単に飛び火します。

 

 日本は気候が湿潤で、大規模な山火事はこれまでそこまで多くはありませんでしたが、これからはわかりません。温暖化により、極端な気象現象が起こることはありますからね。降雨量がものすごく多かったり、逆に少なかったりといったことが起こりえます。降雨が極端に少なくなると山が乾燥し、山火事が起こりやすく、また延焼しやすくなります」

 

 桑名教授によれば、日本では2月から5月にかけて山火事が多く発生するという。これには、この時期特有の理由が考えられるという。

 

「空気が乾燥して強風が吹く季節であるとともに、火入れや山菜取りなどで入山者が増える時期でもあるからです。そのため火の不始末が増えるのです。こうした人為的な原因が、日本の山火事のほとんどを占めます」

 

 一方、雷のような自然現象による山火事はかなり少ないとされる。山火事予防運動などを所管する林野庁に尋ねると、こんなデータを提示してくれた。

 

「日本国内で発生する山火事の原因は、ほぼ人為的なものです。消防庁の統計資料によると、2018年から2022年まで全国で年間平均1292件の山火事が発生しています。1日あたりおよそ4件です。

 

 原因としてもっとも多いのが『焚き火』で32.5%、野焼きなどの『火入れ』が18.9%、疑いも含めた放火が7.6%、タバコが4.6%です。

 

 海外では人為的な発火と自然発火が半々ですが、日本は湿潤な気候ですので、現状での自然発火はほぼありません」

 

 同庁は「山火事は心掛けで防げる火災です」と呼びかける。

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