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石原伸晃氏「ディズニーランドの花火を守るため滑走路の角度を変えた」謎の“手柄話”に自民党内でも疑問噴出、本人に聞いた“真相”

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記事投稿日:2025.03.30 06:00 最終更新日:2025.03.30 17:54
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
石原伸晃氏「ディズニーランドの花火を守るため滑走路の角度を変えた」謎の“手柄話”に自民党内でも疑問噴出、本人に聞いた“真相”

羽田空港での滑走路の角度変更を自らの“手柄”だとする石原伸晃元幹事長

 

 3月22日、自民党の長島昭久衆院議員が更新したXの内容が、党内で波紋を広げているという。大手紙の政治部記者が明かす。

 

「長島氏は、2025年7月に予定されている参院選に、自民党公認で立候補が取りざたされている石原伸晃党元幹事長が2年前に投稿した動画をリポストしたうえで、《のぶさん、GJ》と投稿したんです。

 

 石原氏の動画は『【石原伸晃ch】ディズニーランドの花火を守った??』というタイトルのもの。2年前に投稿された時点では、誰にも気がつかれなかったようですが、つまり議員時代の“実績”や“手柄”を盛ったんじゃないかというわけです。今回、あらためて注目されたことで、石原氏が主張する内容に疑義が呈されているのです」

 

 

 石原氏は動画内で、2010年に供用を開始した羽田空港の4本めの滑走路「D滑走路」と、東京ディズニーランドの花火の関係について言及している。

 

「石原氏の主張によると、当初の計画では、D滑走路を利用する飛行機は千葉県浦安市の上空を通過するコースを取っていたそうです。そのため、ディズニーランドの名物のひとつ、シンデレラ城の上空に打ちあがる花火について『禁止する計画が進んでいた』といいます。

 

 しかし当時、羽田空港を管掌する国土交通相だった石原氏は、『シンデレラ城で花火がないのはどうかなと思って』と、滑走路の角度を2度、変更。これにより、D滑走路を使う飛行機が浦安市上空を飛ぶことはなくなり、『いまでも花火が打ち上げられている』と、自らの“手柄”を披露しました」(同前)

 

 だが、これについて、自民党内では次々と疑問の声が出ているという。

 

「古い話なので、当時のことを明確に覚えている人は少ないですが、大型旅客機が発着する滑走路の建設、設置には厳しい安全基準があり、民間企業の営利活動のために、工事の中枢となる計画を変更するのはありえないでしょう。むしろ、ディズニーランドに配慮して角度を変えたとしたら、大問題ですよ」(自民党関係者)

 

 では、当事者たちはなんと答えるのか。まず、国土交通省航空局の担当者に確認したところ、D滑走路は平行滑走路であるB滑走路よりも、角度を海側に7.5度、ずらしているとしたうえで、

 

「さらに旅客機の進入角度も、より東京湾側を通過するために2度ずれています。つまりB滑走路と比較すると、飛行機の進入角度が合計9.5度、ずれているということになります。石原元議員のおっしゃる『2度』という数字は、この進入角と勘違いされたのではないかと思います。

 

 なぜ7.5度、ずれているのかというと、D滑走路の計画が始まった2002年に、住宅密集地の上空を避けてほしいという要望がまず浦安市からあり、千葉県や浦安市など、周辺自治体と協議や検討を重ねた結果、角度を変えることで対応することになりました。ディズニーランドのため、という認識はありません」

 

 と回答した。

 

 続いて、浦安市に聞くと、騒音被害を理由に、「2004年2月9日に千葉県と関係14市で『羽田再拡張後の飛行ルート(国土交通省案)に対する意見書』を、石原伸晃国交相に送っています」(環境保全課)と答えた。

 

 浦安市は、市川市、船橋市と連名で2003年12月26日に「羽田空港再拡張事業に関する要望書」を提出し、さらに、2004年2月4日には単独で「羽田空港再拡張事業に関する抗議書」を、石原国交相に送っているという。当時の交渉を知る航空専門誌の記者はこう語る。

 

「じつは2004年2月9日は、『羽田再拡張後の飛行ルート案』が国土交通省から提案された当日でした。提案が出た当日に意見書を出すほどですから、浦安市と周辺自治体にとっては、新滑走路を飛ぶ飛行機の騒音が、大きな問題だったわけです。『抗議書』が送られた後の2月20日、国土交通省航空局管制保安部長ら、担当部署の幹部3人が浦安市へ説明に訪れた際、D滑走路を10度、海側に傾ければ、浦安市上空の旅客機の通過は避けられる、と提案しています。

 

 浦安市は、飛行ルートの変更を求める理由として、人口密集地であることや、高層マンションが多いこと、平行滑走路であるB滑走路とは5kmも離れているため、平行関係にこだわる必要がないことを主張しました。また、その際に、飛行経路と最短300mまで接近することになるディズニーランドの存在にも触れました。ただ、どれも非常時の安全確保の問題や騒音の問題であって、花火の話はまったくでていません」

 

 当事者である東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドに、花火の中止計画があったのかどうかを尋ねたところ「広報することができません」との回答だった。

 

 いずれにせよ、D滑走路の角度をめぐって、ディズニーランドの花火について言及する人間は、石原氏を除いて、ひとりもいないわけだ。石原氏の事務所に、動画の内容について確認を求めると、本人のコメントだとして回答があった。

 

「私のSNSを取り上げてくださりありがとうございます。国土交通大臣を拝命したのは今から20年以上前のことです。

 

 この動画は雑談のうちの一コマで、特に当時の資料を見返して準備をして、撮影に臨んだわけではありません。ご興味を持ってくださり、取材された結果、ご指摘の様に事実と違う点があるということでありましたら、お詫びいたします。

 

 ただ、当時、各関係団体の皆さま方からのご要望にお応えしようと、自分なりに精一杯努力はさせて頂いたつもりです。

 

 参議院議員選挙の件は、私は公認申請をしている側の人間ですので、コメントする立場にはありませんが、ご支援を頂いている皆様方から『もっとこれまでの活動実績や、日常の様子を発信した方が良い』といった様なご意見を頂いているのは確かです。

 

 そういったこともあり、『あれは私がやりました、これは私がやりました』というのは照れ臭いのですが、時代が時代ですので、SNSにもなるべく取り組むようにしています」

 

 真相は花火のように、夜空に散ってしまったか。

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