社会・政治
【船橋立てこもり事件】和田敢士容疑者が早朝に送検 犯罪ジャーナリストが語る「家族監禁事件」特有の“難しさ”とは

5月21日に送検された、和田敢士容疑者(写真・梅基展央)
千葉県船橋市で起きた立てこもり事件で、逮捕された和田敢士容疑者(32)が5月21日、送検された。現場にいた記者はこう話す。
「朝9時前に送検されました。昨日に逮捕された時とは違い、首まで届く長い髪を整えていました。マスクをしていましたが、淡々とした様子でした」
船橋市内にあるアパートで、母親(59)と妹(27)と同居していた和田容疑者。その母親と妹を監禁し、包丁を持って立てこもっていた事件だ。20日早朝に発生した事件は、その日の午後まで続き、当時現場には「灯油が撒かれている」という情報も駆け巡ったという。現場には警察だけでなく消防なども多く駆け付け、緊迫した雰囲気が漂っていた。
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だが、はたして自分が住んでいる家で同居する家族を脅したとして、監禁罪は成り立つのだろうか。長年神奈川県警の警察官を務め、警察局長賞などを受賞してきた犯罪ジャーナリスト、小川泰平氏はこう話す。
「もちろん家族間であっても、監禁罪は成立します。今回は包丁を所持していたので、銃刀法違反も問われることにあるでしょう。
これは被害者が告訴しないと起訴できない親告罪とは違います。現行犯で逮捕されているので、家族が後で違ったといっても、罪として成立します。
今後裁判になって、被害者だった家族が減刑を求める場合はあると思いますが、それは家族でなくても、被害者が減刑を求める場合と同じです」
もっとも、家族を監禁して立てこもり事件を起こした場合は、他人を監禁している場合より捜査が難しい場合があるという。小川氏が続ける。
「家族を監禁して立てこもった場合、犯人からの要求がない場合が多いのです。例えば立てこもり事件があると、大体犯人は何らかの要求を出してきます。ところが人質が家族だと、家族を恨んでいて、自暴自棄になって家族に危害を加える場合が多い。そのため、より慎重に犯人の説得に当たらないといけません」
まさに今回の事件も、小川氏の指摘通りの内容だったようだ。今回、和田容疑者は、犯行動機について「前日夜に音楽を聴いていたら、母親に注意された。そのため母親を殺そうと思った」と語っているという。
約7時間に及ぶ監禁状態で、何があったのか。それを知るのは容疑者と家族しかいない。