社会・政治
小泉進次郎 “コメ大臣”に立ちはだかる「自民党内で最強」の抵抗勢力とは…早くもバチバチ舌戦に

2025年5月22日、大臣就任翌日に開かれた衆院本会議で挨拶攻めにあう小泉進次郎農水相(写真・長谷川 新)
「ものすごいスピードで応えてくれた民間の事業者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです」
随意契約による備蓄米の販売が大手小売りで本格的に始まった6月1日、小泉進次郎農水相は都内のスーパーを視察。得意満面でこう語った。
「『コメを買ったことがない』発言で更迭された江藤拓前農水相の後任として5月21日に就任した小泉氏は、直後に備蓄米を随意契約で市場に流通させることを表明。金額も『2000円かそれ以下』と踏み込みました。しかも、就任から10日後の6月第1週に店頭に並ぶことを目指したので、党内からも『言いっ放しにならないか』と心配されていました。
ところがフタを開けてみたら、『最初に売ることで企業イメージがアップする』という事業者のトップ争いも影響し、5月31日に売り出されました。小泉氏は『してやったり』の笑顔でしたよ」(政治担当記者)
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連日、ニュース、ワイドショーでも「小泉劇場」を取り上げている。まさに「無双」。
政治評論家の有馬晴海氏は本誌の取材に、「7月には参院選があります。小泉さんは農水相として全国を回り、(コメ価格を下げた)成果をアピールできます。これは参院選にものすごく高い効果があり、2年半後の自民党総裁選に名乗り出ることも考えられます」と語った。
しかし、小泉氏の前に立ちはだかる「抵抗勢力」があることも事実である。「自民党内の最強勢力」(自民党関係者)といわれる「農林族議員」だ。
「地方では、農林水産業に従事する有権者の票が当落を左右することが多いんです。特に比例での集票が期待できます。
江藤氏もバリバリの農水族ですが、就任には農水族トップの森山裕幹事長の意向が働いたと言われています。そうした議員たちにすれば、『小泉氏は農業の秩序を乱す不届きもの』と映るのでしょう」(前出・自民党関係者)
その族議員の不満が、5月31日に鹿児島県鹿屋市で行われた森山幹事長の国政報告会で爆発した。
「森山氏は講演で『農家が頑張って作ろうという気持ちでやってもらわなければ、食料安全保障は成り立たない。小泉農水大臣にも、そのことはしつこく言ってある』と苦々しそうに言い、講演後には記者団に『(コメの価格は)5kgで3000から3200円くらいだと(農家も)コストに見合うし、少し利益が出る』と見解を示しました。
また、同報告会では野村哲郎元農水相が『小泉(進次郎)農水相はお父さんに似ていて、あまり相談することなく、自分で判断したものをどんどんマスコミに発表する。森山先生からチクリとやっていただかないと今後心配だ。ルールというのを覚えていただかなきゃいかん』と憤っていました」(前出・政治担当記者)
参院選を前に農業票が離れることを警戒した側面もあるが、これに小泉氏は「大臣の権限の中で政省令の改正や運用を決めるべきことだと思う。私はこれがルールだと思う」と反論。
実業家の堀江貴文氏は6月1日、自身のXに《これは進次郎が正論》とポストしている。小泉氏の突破力が問われる局面だ。