社会・政治
「住吉会」が“発祥の地”芝浦に本部を移転「トラブルいっさいない」近隣住民語るも直後に警察の家宅捜索が

2025年6月12日、東京都港区芝浦に移転した「住吉会」の本部(写真・梅基展央)
6月26日、警視庁と千葉県警の合同捜査本部は、東京都港区芝浦にある指定暴力団「住吉会」本部へ家宅捜索に入った。捜査本部は24日、盗難車のナンバープレートをつけ替えたとして住吉会系暴力団の幹部を逮捕しており、今回はその関連として、組織犯罪処罰法違反容疑で家宅捜索に踏み切ったもの。
国内でナンバー2の勢力を誇る住吉会の本部は、6月12日に東京都新宿区から港区に移転し、官報で公示されたばかり。JR田町駅から徒歩5分の位置にあり、周辺にはオフィスビルやマンションが立ち並ぶ一角。その新本部への家宅捜索は、今回が初めてだった。ヤクザ界に詳しいジャーナリストはこう話す。
「住吉会は長年、赤坂にビルを所有し、そこに本部を置いてきました。しかし2023年、そのビルを売却し、新宿のマンションへ本部を移転。ところが住民の反対運動で、2024年、東京地裁が部屋の使用を禁じる仮処分を決定し、本部をどこに移すのか探していたのです。一時は千葉に移すという話もありましたが、東京発祥の組織なので、東京に留まりたいという意向があり、芝浦に移ったばかりでした」
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ちなみに住吉会の新本部ビルは、地上5階建てだ。都内在住の暴力団関係者はこう話す。
「芝浦のビルは、以前から住吉会芝浦事務所という名前で知られていた。もともと住吉会は、芝浦が“発祥の地”。そこに本部を移したことは、まさに住吉会にとって原点回帰だった。これまでに芝浦のビル周辺で揉めごとを起こしたことはなかった。付近の住民には迷惑をかけないようにしてきたから。しかし、そこに家宅捜索に入ったということは、まさに警察が、本部移転は許さないという意思を表してきたといっていいだろう」
近隣住民は、住吉会の本部が移転してきたことについて、こう話していた。
「以前から、ここに住吉会のビルがあることは知っていますよ。もともとここが本部だと思っていました。いままで何かトラブルがあったりしたことは、いっさいありませんよ。本部移転がニュースになりましたが、そういわれてみれば、最近は行き来する車が高級になったなと思っていました。トラブルがなければ、とくに問題はないと思います」
だが、前出の暴力団関係者は、新本部について危惧する部分があるという。
「住吉会としては、住民らに迷惑をかけないよう注意しながら、本部として運用せざるを得ない。外部の客人が来たときだけ迎え入れる施設として利用し、ふだんは使わないようにするしかない。ここを出ろといわれたら、ほかに本部を移す場所がなくなってしまう」
住吉会と警察の攻防が続きそうだ。