
石破首相(写真:JMPA)
7月7日、厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(令和7年5月分速報値)で、1人当たりの現金給与総額(規模5人以上)は前年同月比で1.0%増え、41カ月連続でプラスとなった。
一方、物価上昇に賃金が追いつかず、実質賃金は前年同月比でマイナス2.9%となり、5カ月連続でマイナスとなった。
経済部記者が言う。
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「今年5月の消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除く総合が前年同月比で3.7%上昇し、特にコメ類が前年同月から101.7%上昇して、過去最大の伸び率となり家計を直撃しました。特に今回の実質賃金のマイナス幅は、2023年9月のマイナス2.9%以来の大きさとなりました」
参院選(7月20日投開票)では、物価高対策が最大の争点となっており、選挙期間中での“実質賃金5カ月連続マイナス”発表は選挙戦に影響を与えそうだ。
自民党ベテラン秘書が言う。
「毎月上旬に発表される毎月勤労統計調査は、石破政権も気にしており、選挙期間中の発表ではプラスに転じることを願ったのですが……。これは痛いですね。現在はお米の値段は下がってきているため、参院選後に発表される実質賃金は5月分よりも改善されると思いますが、タイミングが悪すぎます」
今回の参院選では、自民党と公明党の政権与党が過半数となる50議席を獲得できるかどうかが注目されている。石破茂首相も自公で50議席獲得を目標にしているが、苦戦を強いられているようだ。
政治担当記者が言う。
「各社の情勢調査などをみると、自公が50議席を獲得できるのは微妙な情勢になってきています。それに加えて、選挙期間中での実質賃金5カ月連続でマイナスの発表ですから、自公政権にとっては痛手となりそうです。タイミングが悪いというのは、言い訳にならないでしょうね。それまでコメの価格が上昇することを抑えられなかったのですから」
参院選後に実質賃金がプラスに転じたとしても、自民党にとっては後の祭りとなりそうだ。