
本誌の直撃に答える山尾志桜里氏
国民民主党から公認を取り消され、無所属での出馬を決めた山尾志桜里氏が、7月8日、東京・JR新橋駅前で演説をおこなった。立候補後の第一声時に集まった聴衆は10人ほどだったと報じられたが、この日、SLでお馴染みの駅前広場には100人近くがつめかけた。演説後、人々との握手や写真撮影を終え、街宣車に乗り込もうとする山尾氏を直撃した。
6月10日、国民民主の参院選比例代表の候補者として会見した際、過去の「不倫疑惑」について厳しく追及された山尾氏。「過去のおごりを反省してお詫びします」と謝罪するとともに、「この場で新しく言葉をつむぐことはご容赦いただきたい。それぞれいろいろな思いの方がいるので」と、多くを語らなかった。
その姿勢を「逃げている」と報じられたことが、公認内定を取り消される一因になったといわれる。山尾氏はこの取材攻勢についてどう思うのか。
「9割以上のメディアは、政策に関する質問をしてくださっていました。しかしながら、ごく一部の方が私生活の話に固執され、報道ではその部分がすべてであるかように扱われてしまったと私は受け止めています。
私は、日本が挫折した女性を潰してしまうような社会になることを望みません。だから、こうやって無所属で出馬をして、復活するという目標を原動力にしています」
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出馬表明後、山尾氏はSNSやメールで殺害予告を受けるようになった。警察に被害届を出したことも発表している。
「国民民主からの立候補と公認取り消し、そして無所属で出ることになった流れで、複数の殺害予告を受けました。でも、言論封鎖に屈してはならないので、私はきちんと演説日程を公開して演説し、終わったらすぐに街宣車に乗るのではなく、聞いてくださった方々と対話をしたい。それを曲げることはできません」
先の会見は不倫疑惑の蒸し返しとなり、再び世間の批判にさらされた。“玉砕覚悟” とも言われるなか、なぜ出馬に踏み切ったのか。
「たとえば、女性天皇や憲法改正、自主防衛などの問題は、政党のしがらみがあると主張しにくいものです。しかし、それらは日本を存続させるためにどうしても避けられない議論です。
2009年から10年以上にわたって国会議員を務めてきたなかで生まれた信念が、私にはあります。それは無所属だからこそ国民のみなさまに直接お伝えすることができ、そこに勝機があると考えています」
山尾氏が立つ東京選挙区の候補者は、32人のうち10人が女性。女性議員のあり方を、山尾氏はこう語る。
「私は現職のときから、女性議員であっても『女性政策(地位向上、役員比率の上昇など)』に閉じ込められるべきではないと考えています。むしろ、国家の土台の政策に自ら分け入っていくべきだと。それがあって初めて女性がこの国のリーダーになれるのです。そう思ってやってきましたし、それは今回訴えているテーマにつながっています。
たとえば、外国人問題が争点になっていますが、私は外国の方にはきちんと日本のルールを守っていただくべきだと考えますし、スパイ防止法に関しては誰よりも具体策を持っております。でも、真面目に働いている外国人と違法行為をする外国人を一緒くたにして論じるのは、日本の国柄にも合わないでしょう」
無所属での出馬について、山尾氏は国民民主への「リベンジ」ではないと公に否定している。その他の候補者で、負けられないライバルはいるのだろうか。
「特定の候補者をライバル視することはまったくありません」
「右」でも「左」でもない「中道」を唱える山尾氏。どの組織にも属さない自由な立場から国民の共感を得て、再び議員バッジを手にすることができるか。
取材・文/深月ユリア