
鶴保庸介氏
参院選(7月20日投開票)を前に、自民党にとっては大打撃になりかねない失言が飛び出した。
7月8日、自民党参院議員の鶴保庸介参院予算委員長(和歌山県選挙区/今回は非改選)が、自民党公認で立候補している二階伸康氏を応援する集会で選対副部長として登壇し、「運のいいことに能登で地震があったでしょ」などと発言したことに批判が集まっている。
政治担当記者が言う。
「鶴保氏は、地方から都市部に人口が流出し、地方の人口が減少する対策につながる『2地域居住』の必要性を説明しました。
その際に、能登半島地震の被災者が居住する自治体以外でも住民票の写しが取れるようになったことについて、『(総務省は)今回に至っては本当に協力的でした。むしろ、率先してやってくれたと言ってもいい。また、運のいいことに能登で地震があったでしょ。緊急避難的ですけども、金沢にいてでも輪島の住民票が取れるようになっていったんですよ。やりゃあ、できるじゃないかという話になって』などと話したのです。
この『運のいいことに』という部分がやり玉にあがったのです。ほかにも、この日の演説では被災地の石川県珠洲(すず)市の読み方を正しく言えないなど、被災地への関心の低さが露呈する場面もありました」
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鶴保氏は、翌9日、和歌山市内で会見し、「能登地方が被災したことを『運よく』などと発言してしまいましたが、思った発言ではまったくありませんでした。被災地への配慮が足りなかったと反省をしております。陳謝のうえ、撤回させていただきたい」などと発言し、謝罪した。
自民党の森山裕幹事長は、同日、鶴保氏を「厳重注意」とした。自民党のベテラン秘書が言う。
「『ふざけるな。なんてことをしてくれたんだ』と、党の人間は全員思っています。何十年、国会議員やってんだ、という話ですよ。ただ、ああいった失言をするのは、鶴保さんの資質ですから。いまさらあれこれ言ってもどうしようもないですね。
『これで参院選は終わった』とは言いませんが、それくらい党にとってかなりマイナスになる失言だったと思います」
Xでも、
《陳謝しても遅い》
《自民党さん、選挙直前でまたやらかしてしまう》
《謝るなら復興ボランティア行ってこい》
などと厳しい批判が相次いでいる。
前出の記者が言う。
「自民党候補の二階伸康氏は、二階俊博元幹事長の三男で、2024年の衆院選和歌山2区から、父親の後継候補として出馬しました。しかし、裏金問題で自民党を離党し、無所属で鞍替え出馬した世耕弘成元自民党参院幹事長に敗れ、落選しています。
今回、和歌山県選挙区は伸康氏を含めて7人が立候補していますが、伸康氏の対抗馬は和歌山県有田市長を4期務めた無所属の望月良男氏。衆院選で伸康氏に勝った世耕氏は、望月氏を支援しています」
東大法学部出身の鶴保氏は、1998年、参院選和歌山県選挙区から自由党公認で出馬。当時、自由党の二階俊博氏の陣頭指揮のもとで初当選し、その後、二階氏らとともに保守党、保守新党、自民党と行動をともにした。
「鶴保さんから見れば、伸康氏は親分の息子さんです。その伸康氏の応援で失態をおかしたのですから、二階元幹事長もご立腹なのではないでしょうか。現在、伸康氏と望月氏は接戦という情報です。恩を仇で返すようなことにならなければいいのですが……」(前出の秘書)
はたして、今回の失言は選挙にどれほど影響してくるだろうか。